広報誌「かけはし」
 
■2009年12月 No.459

 平成21年度健康保険組合全国大会が、11月19日(木)東京・丸の内の東京国際フォーラムで開催された。「財政危機突破と健保組合を守る総決起大会」を副呼称に掲げた大会には、全国の健保組合関係者約4、000人が参加した。
 大会では、平井克彦健保連会長の基調演説に続き、長妻昭厚生労働大臣のメッセージ披露(水田邦雄厚生労働事務次官代読)があった。
 対馬忠明専務理事からの、最近の情勢報告および決議の趣旨説明の後、大阪連合会の加藤幹雄会長が決議文を朗読、@高齢者医療制度の改革と適正な公費投入の実現A健保組合の過重な負担を軽減する財政支援の継続・拡大B制度間の財政調整・一元化の断固阻止C保険者機能を十分に発揮できる組合方式の推進─の4大スローガンを全健保組合の総意で採択した。
 大会に出席した政党代表者からは、スローガンの趣旨に理解が示され、日本経団連、連合、全国健康保険協会の代表者は健保連との団体間の連携を強化し、活動を展開していくことを約束した。大会終了後には、健保組合の代表者が大会決議の実現を期して、国会議員等への要請行動に向かった。


 今、3000万人の国民の健康を守る「健康保険組合」は危機に瀕している。健保組合は、平成20・21年度と2年連続で巨額な赤字を計上し、赤字組合の割合も9割を超えている。厳しい財政状態から、解散に追い込まれる組合もあり、また今後、続出することも懸念され、健保組合は今まさに存亡の危機にある。
 この未曽有の危機を招いた最大の要因は、保険料収入の5割近くを占める過重な高齢者医療制度の納付金・支援金負担にある。高齢者医療の負担は、健保組合がその本来の使命である保険者機能を十分に発揮できる、負担可能な納得性のあるものでなければならない。
 我々は高齢者医療制度を、65歳以上を対象とし、十分な公費投入により国民全体で公平に負担する制度に改革するよう、また改革が実施されるまでの間、瀬戸際に立つ健保組合に対し、過重な負担を軽減する財政支援を継続・拡大するよう強く求めるものである。
 「民の力」で、自主・自立を基盤に3000万人の健康を支え、かつ最も効果的・効率的に保険者機能を発揮できる健保組合は、皆保険制度の維持に不可欠である。また、財政調整・一元化は、保険者の自主性と経営努力のインセンティブを否定し、保険者機能の高度化を阻害するものであり、絶対に認められない。国民の安心確保に向けて「健康保険組合制度」を守るべく、我々は不退転の決意で臨む。
 全ての健保組合は次の事項の実現を期し、組織の総意をもってここに決議する。

 高齢者医療制度は、年金、介護との整合性の面からも、前期・後期を区切らず65歳以上を対象にした新たな制度に再構築すべきである。また、その費用は、国民全体で支える観点から、国による十分な公費を中心に賄われるべきである。
 健保組合は、平成20年度3060億円、21年度6150億円と2年連続で巨額の赤字を計上し、9割が赤字組合に陥っている。その最大の要因は、高齢者医療制度の納付金・支援金の過重な負担にある。制度が改革されるまでの間、過重な負担に苦しむ健保組合に対し、財政支援措置を継続・拡大すべきである。
 財政調整・一元化は、保険者の自主性を否定し、保険者の効率化の意欲や経営努力を低下させるものである。医療保険に欠くことのできない保険者機能の発揮を阻害する制度間の財政調整や一元化は、断固阻止する。
 健保組合は、疾病保険的役割にとどまらず、医療費の適正化、加入者へのきめ細かい保健事業等、保険者機能を最も効果的に発揮できる保険者である。高齢化等による医療費の増大が避けられない中、限りある医療資源を有効活用するためにも、保険者機能を十分に発揮できる組合方式を推進すべきである。

平成21年11月19日
財政危機突破と健保組合を守る総決起大会
平成21年度健康保険組合全国大会