広報誌「かけはし」
 
■2008年12月 No.447

 平成20年度の健康保険組合全国大会が、11月17日(月)東京・丸の内の東京国際フォーラムで開催された。「健保組合存亡の危機突破総決起大会」を副呼称に掲げた大会には、全国の健康保険組合関係者約4、000人が参加した。
 大会は、平井克彦健保連会長の基調演説に続き、渡辺孝男厚生労働副大臣のあいさつがあった。
 引き続き対馬忠明専務理事から最近の情勢報告および決議の趣旨説明の後、@前期高齢者医療制度に対する公費投入の実現A制度間の財政調整・一元化構想の断固阻止B税・財政改革による安定した社会保障財源の確保─の3大スローガンを全健保組合の総意で決議した。
 大会に出席した政党代表者からは、スローガンの趣旨に理解が示され、日本経団連、連合の代表者は健保連との3団体の連携を強化し、活動を展開していくことを約束した。また、参加した健保組合の代表者から決議に対する支持と実現に向けた強力な活動を要請した。


 今、健保組合は、「高齢者医療制度」の創設に伴う納付金・支援金等の負担増により、極めて深刻な事態に直面し、更なる解散組合の増加が懸念されている。健保組合の平成20年度予算では、納付金等の負担額が保険料収入の45%を超え、赤字組合数は9割に達する。他制度を支援するための負担はすでに限界にきており、このままでは多くの健保組合が存亡の危機に瀕する。
 健保組合は、今日まで自主・自律を基盤に、国民皆保険制度の担い手として常に先駆的役割を果たしてきた。健保組合制度の破たんは、医療保険制度の崩壊につながるものである。
 国は、納付金等の急増で財政難にあえぐ健保組合に対し、21年度政府予算において、従来にも増した大幅な激変緩和策を講ずるとともに、健保組合に過重な負担を強いる前期高齢者医療制度には、公費を投入すべきである。また、われわれは、前期・後期の区分なく65歳以上を対象とする高齢者医療制度に改めることを強く求めるものである。
 「高齢者医療制度見直し」の財源策の検討にあたっては、制度創設時にめざした「世代間の公平な負担」の基本原則を厳守すべきである。そのためには、早期に税・財政改革を断行し、消費税など安定的な財源を確保することが不可欠である。
 また、保険者の自主性や保険者機能を阻害する制度間の財政調整や一元化構想に対しては断固反対していく。
 われわれは、次の事項の実現を期し、組織の総意をもってここに決議する。

 健保組合の財政悪化の大きな原因は、前期高齢者医療制度の過大な納付金負担にある。国の補助金をほとんど受けず、高齢者医療を支えている健保組合の負担を適正なものとするために、前期高齢者医療制度への公費投入を行うべきである。
 健保組合は、高齢者医療制度を通じてすでに多額の納付金・支援金等を負担している。また、昨年健保組合に求められた他制度への国庫負担の肩代わりは、負担の公平を名目にした財政調整であり、絶対に認められない。医療保険者の自主性や保険者機能の発揮を阻害する制度間の財政調整や一元化構想は、断固阻止する。
 健保組合は、高齢者医療制度など他制度のために過大な負担をすることはできない。また、社会保障関係費の自然増を毎年2、200億円削減する措置には反対である。政府は、消費税やたばこ税の引上げ等の税・財政改革により、国民の安心・安全を守る社会保障の安定的財源を確保し、医療保険制度の実施・運営に対する国の責任を果たすべきである。

平成20年11月17日
健保組合存亡の危機突破総決起大会
平成20年度健康保険組合全国大会

◆ 医療保険制度のあるべき姿 ◆
 全国大会決議に引き続き、「医療保険制度、そのあるべき姿は!」をテーマに、日本医師会副会長の竹嶋康弘氏、日本放送協会解説委員の飯野奈津子氏、全国健康保険協会理事の貝谷伸氏、健保連の対馬専務理事の4氏を診療側、患者、保険者の立場を代表するシンポジストに、目白大学大学院生涯福祉学研究科教授の宮武剛氏をコーディネーターとして特別シンポジウムを開催。
 医師不足や救急医療のぜい弱化などに象徴される医療提供体制の基盤の劣化、社会保障費を毎年度機械的に2200億円削減する政府方針を撤回すべきとの認識で一致した。世界に冠たる国民皆保険を堅持する必要性を確認し、今後の医療保険制度の将来像を模索した。