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たばこ税の引き上げ論議が活発化しており現実味を帯びてきている。
たばこ税の引き上げを後押しする要因として、喫煙者本人はもちろん、周りの人間にも健康面で悪い影響をもたらす点が科学的に明らかにされていることや、公共の機関以外でも喫煙場所が極端に制限され、肩身の狭い思いをせざるを得ない状況が目につくようになり、喫煙は迷惑であるというイメージが定着したことがあげられる。
以上のことから、喫煙者の健康障害に対する責任問題を、真っ向からとりあげる時期が到来したといえよう。この動きに対し、愛煙家の反論は、たばこは嗜好品であるから、周りからとやかくいわれたくないという思いが根強いと考えられる。
しかしながら、愛煙家に対してきつい一言が日本学術会議から発せられているので紹介すると、「国民皆保険の日本にあっては、たばこによる健康障害に要する費用は国民全体で負担しているため、喫煙は国民全体の医療経済問題であり、
」と、愛煙家の反論を一蹴している。
喫煙による経済的損失を見た場合、喫煙者の直接超過医療費が1兆2900億円、間接喫煙者のそれが146億円、喫煙による労働力の損失が5兆8000億円、火災による損失が2200億円で、合計7兆3246億円と推計されている。(2001年度の(財)医療経済研究機構のまとめ)
もうひとつ、2006年の厚生労働省厚生科学研究「喫煙と禁煙の経済的効果」では、喫煙による医療費損失は1兆3000億円、これに死亡・負傷による損失、火災による財産損失等を加えた社会的損失は、合計4兆9000億円と推計されている。
このように、たばこの健康に及ぼす影響や、健康障害により使われる医療費のことを考えた場合、速やかにたばこをやめるべきであるという結論に達するわけだが、嗜好品である一面は否定できないので、喫煙によりもたらされる損失の補てん責任としてたばこ税の引き上げを、愛煙家は受け入れるのが当然であると思う。
ちなみに、厚生労働省厚生科学研究「各種禁煙対策内の経済影響に関する研究」の中間報告によると、現状消費量をベースにたばこを1箱千円に引き上げた場合、たばこ税の総額は11兆円となり、平成20年度の予測税収2兆2036億円を大きく上回るとされている。
年々伸び続ける医療費の財源確保が大きな問題になっている状況下にあって、国としても速やかにたばこ税の引き上げに着手し、医療費財源に充てるべきではないか。 |
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(M・T) |
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