広報誌「かけはし」
 
■2008年4月 No.439

 3月17日、平成19年度第2回保健師連絡協議会総会が健保連大阪中央病院大会議室で開催され、平成20年度事業計画案と予算案が承認されました。総会後には潟nーティスト取締役トレーニング・ディレクター清野健太郎氏による特別講演会「保健指導に活かすコーチング」が行われました。

鮫島真理子会長
 総会は、鮫島真理子会長(松下電器健保組合)の開会の挨拶に続き、来賓の三洋電機連合健保組合の山田専務理事が挨拶。
 鮫島会長は「4月から特定健診・特定保健指導がはじまり、私たちにも期待されることが大きいと思いますが、おかれている立場、役割、準備状況等、それぞれの健保組合、会員の立場で違っていますが、いま一度、皆さんに誇りをもってさまざまなことに取り組んでいただきたい。また、ひとりでも多くの人に参加していただきたいと思います」と話しました。
 山田専務理事は「4月から特定健診・特定保健指導がはじまります。ようやく皆さんの出番かなと思います。保健指導は特定健診・特定保健指導だけではなく、一様の保健指導、病気の人の保健指導も大事です。量よりも質を高めて、保健指導される方の身になって指導をしていただければ幸いです」と語りました。
 議事は、議案第1号で玉木副会長(ダイハツ健保組合)から「平成20年度事業計画(案)」の提案があったあと、議案第2号で大阪連合会の宗像事務局長代理から「平成20年度予算(案)」が説明されいずれも承認されその後、宗像事務局長代理より「健保組合をとりまく情勢報告」(別掲)がありました。
 
 

特 別 講 演 会

保健指導に活かすコーチング
 
潟nーティスト取締役
トレーニング・ディレクター
清野 健太郎氏
 知識より体験から学ぶ
 研修で一度に多くのことを知識で学んでも、「そうなんだ」で終わってしまいます。自分自身の現状や立ち位置を把握し、自分のこととして捉えない限り身につきません。体験しながら学ぶなかでコーチングが役立てられそうな部分をいくつか見つけていただきたいと思います。研修を通し、コーチングとはなんなのかを理解し、自分のコミュニケーション能力を高めることや指導に役立てられることを見つけてもらいたいと思います。
清野健太郎氏
 対話は情報の共有から
 お互いに対話することで新しいアイデアが生まれたり、情報の共有につながります。ブラインド・ウォーク(1人が前で誘導、1人は後ろで目をつぶり歩く実習)に例えると、誘導する側は相手の行きたい場所に誘導するために、誘導する相手の理解や現在の位置やペース、歩幅などの確認が必要になってきます。それらのことが共有できていると前に進みやすくなります。
 コミュニケーション手法としてのコーチング
 コーチングは、人の能力や可能性を引き出すのに効果的なコミュニケーション手法のひとつです。また、個人の意識と責任感を育て自律(自立)をサポートします。
 保健指導でも、本人をこちらで細かくサポートしなくても、自分で健康のことを考えて自分の望む方向を目指してもらうこと、自律(自立)した状態になることが必要だと思います。保健指導で数値だけの目標をあげても、本人のやる気はあがりません。対象者にとってなにが重要なのかをつかみ、メリットを引き出すことが大切です。また、皆さんにとって大事なことはコーチングそのものを身につけることが目的ではなく、ひとつの目標として、よりよい保健指導のためにコーチングのエッセンスを活かしていただきたいと思います。
 コーチングの基本的な考え方(コーチング・マインド)
1.人は皆、無限の可能性をもっている
   相手をできない人と見るのではなく、まだ必要な力を身につけていない、今後身につけられる可能性があるという姿勢でかかわります。
  2.本人が答えをもっている
   すぐに答えを与えるのではなく、気づいていない(眠っている)答えをかかわりながら引き出していきます。
  3.協働関係(パートナーシップ)を築く ※協働(同じ目的のために、協力して働くこと)
   コーチは相手のなかにある答えを見つけ出せるようにサポートするパートナーです。
 この研修では、講義と実習をまじえながら進められました。実習では「コミュニケーション振り返りシート」(16項目の自己チェックシート)への記入をもとにしたグループ討議も行われました。
※写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。

 少子高齢化が進行するなか、平成20年度は、18年度から順次施行されてきた医療制度改革の節目の年です。特定健診・特定保健指導の義務化が始まり、一方では新しい仕組みの後期高齢者医療制度が創設されます。
 背景にある少子高齢化については、厚労省の人口動態統計をみると、日本人の死因の多くが、がん、心疾患、脳血管疾患の生活習慣病が占めています。これらを防ぐことも医療制度改革のねらいであり、特定健診・特定保健指導もその一つです。また、同統計では死因とその変化も含めて毎年の死亡数、出生数をみることができます。ほかに少子高齢化の状況を知る材料として、「国勢調査」「人口推計」(総務省)、生命表(厚労省)があり、指標である総人口・人口構造、平均余命、出生率などを把握しておく必要があります。
 一方、20年度からの、2年ぶりの診療報酬改定が決定しており、内容は医療技術料などの診療報酬本体が+0・38%、薬価・材料が△1・2%、トータル△0・82%となっています。