広報誌「かけはし」
 
■2007年10月 No.433
     
   9月28日、大阪府商工会館で広報研究会を開催しました。同研究会には22組合から25名が出席し、健康保険組合連合会広報部長・近藤洋太氏から「健保組合の広報活動」をテーマにした講演を受けました。(以下は講演のポイント)

●情報は誰に伝えるのか
 

近藤洋太氏

 日本の世帯構成の変化を1980年と2007年とで比べると、単独世帯が20%から30%に増えているのに対し、標準世帯(夫婦+子)が42%から29%に減っています。この変化は健保組合の扶養率と相関しており、1980年度に1.41だった扶養率は2000年度に1.08となり、その後も低下しています。
 若い人、とくに女性が被保険者の大半を占めているひとつのある健保組合では、広報誌を若者向けに編集し、自宅にダイレクトで送るなど若い人材を対象にした広報活動を展開しています。社会構造の変化に対応した情報の伝え方と、情報を誰に伝えるのか焦点を絞ることが大切です。

 
 
●ネット社会と広報
   インターネットは、この10年で急速に普及しました。ネット利用人口は1997年の9.2%から2005年には66.8%と増え、現在3人に2人はネットを利用しています。世帯普及率でみるとさらに88%と上昇し、ネット環境は整ってきています。
 一方、紙媒体の出版販売額をみると、1997年頃を境に、月刊誌、週刊誌、書籍の売れ行きがやや落ちています。しかし、フリーペーパー(無料誌)の発行部数は逆に増えており、紙媒体全体の発行量は減っていないものとみられます。また、無料誌はネットに誘導しようとしていますので、これらを考えると紙媒体の使用方法が変わってきたといえるでしょう。
 健保組合でのWebサイトの開設率をみると、この2年間で29%から40%に上昇しています。逆に、広報誌の発行率は落ちており、発行間隔(頻度)も長くなっています。Webサイト、広報誌のどちらがメインかと問われますが、そういう問題ではなく、媒体としての性格が違うのです。広報誌は「主張する」媒体、Webサイトは「案内する」媒体。受け手からすれば、広報誌は「届く」「読む」媒体、Webサイトは「開く」「見る」媒体です。広報活動を行うにあたって、それぞれの特性を把握しておくべきです。
 そこで、健保組合のWebサイトですが、一般に比べてまだまだ無愛想で、見たい人がそこへたどりつくまで分かりにくく、また、情報が更新されていないケースも見られ、こういうサイトは見に来てもらえません。
●ネット社会と見出し
   Webサイトの見出しは日刊紙に比べて長くなっており、進化しています。また、携帯電話の配信記事などは17〜18字であり、これには速報で第一報を伝えるという意味があります。ネット社会では、全体的に見出しを長くしてひと目で中身が分かるようにし、その分、本文を短くするという傾向にあります。新幹線の文字放送で約50字、この分量が、人間が集中して見ることができる時間なのかも知れません。
 ネット社会にあっても広報文章の書き方は不変です。いくつかの注意点をあげると、@締切り、文字数の指定を守るAワンセンテンスはできるだけ短くB読者の目線で表現するC表記に気をつけるD丁寧すぎる文章は避けるE難しい漢字熟語は避けるF文章は整理して伝える─などであります。