大阪府社会保険診療報酬支払基金は、資格関係誤りレセプト発生防止のため、保険者・医療機関に対し、理解と協力を求めている。
支払基金のまとめによると、平成18年度の資格関係再審査調整状況は、大阪府分では42万件・56億円で、そのうち健保組合分は13万件・13億円となっている。これは、府内医療機関分のみであり、全国の医療機関に対する申し出は512万件、金額にして、720億円(健保組合分145万件・137億円)が支払基金を通じて保険者と医療機関の間を往来している。
これらは支払基金のみならず、保険者および医療機関においてもその対応に多大な時間と労力を費やすこととなり、大きな負担となっている。
誤りレセプトの発生原因は、@医療機関における被保険者証からの転記ミス(記号・番号誤り、本人・家族の誤り)が35.2%、A受診時に被保険者資格がないことの確認不足(資格喪失後の受診、旧証によるもの)が50.5%となっている。
こうした資格過誤によるレセプト返戻の解消を図るため、厚労省は20年度以降に被保険者証をカード化する保険者に対し、カードにQRコードを装着させることを予定していた。
誤りレセプト発生原因@の対策として、医療機関がQRコードを読み取り、自動転記化を図ることで、記号・番号誤りや本人・家族の誤りなどの転記ミスのないレセプト作成が可能になる。これで資格過誤レセプトは約4割削減可能。また、発生原因Aの対策は資格喪失後受診を防ぐために、被保険者の登録状況をオンラインで照合するシステムを導入することで約5割。これらの取り組みによって資格過誤によるレセプト返戻の約9割が解消されると見込まれていた。
しかし突然、7月6日、厚労省から健保連へ、最近の「社会保障カード(仮称)」という動きのなかで、QRコード化について中止の申し入れがあった。資格過誤によるレセプト返戻の解消が大いに期待されていたが、白紙撤回となった。
参院選も終わり、今後は、早期に国としての明確な方針を検討願いたい。
被保険者への受診教育や資格喪失後の証の早期回収義務は保険者。誤りレセプトの多い医療機関に対する面談・文書連絡の強化、誤発送の防止などは支払基金。被保険者証の確認と転記誤りのない適正なレセプトの作成は医療機関。
現状でもそれぞれの立場で努力し、資格関係誤りレセプト解消に向けた大きな効果を期待したいものである。 |