5月中旬に厚生労働省のまとめた「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム」の全容が明らかにされ、経済財政諮問会議で大筋合意、経済財政運営の基本方針(骨太方針2007)に反映させられるとのことである。
今回発表された内容によりやっと医療と介護分野の改革構想や政策目標の全体像がみえた。
ここ1年ほどの健康保険組合へのいろいろな情報や展開は枝葉からの説明で、行き先の分からない船に乗せられたようなもので、最後にどこへ行こうとしているのか見当がつかなかった。最終は社会保障費全体の削減という目的はあるにしても、メニュー全体が見えず、キョトンとしていたのが実態であった。
しかし、今回のプログラムで健康保険組合に課せられた役割は過大である。
役割的には誰も反対できないし、将来、削減効果に期待される成果が得られなかったとき、「諸悪の根源は健康保険組合にあり」になってはならない。
削減効果の金額目標の明記は年末まで先送りされたようであるが、あまりにも官邸主導であり過ぎ、功をあせりすぎて、金額が先行している感が否めない。
医療保険制度において、アメリカは民間保険が中心で、ドイツでは会社員が中心の公的保険であるとのことである。
一方、日本人にとって当たり前である現行の健康保険の「皆保険」体制は、世界に誇れる稀有な制度であり、今後も維持していかなければならない。
昨今いわれる医療の地域格差である医師偏在に対処するため、都市部の院長要件に「へき地勤務要件」を課す考えや、不足している診療科の診療報酬の引き上げが示された。
療養病床の軌道修正で削減緩和が考えられているようであるが、いろいろな施策が「モグラたたき」になって、あげくは朝令暮改にならないことを祈るばかりである。
社会保障改革は、医師、保険者、患者の三者が決して一両損の発想ではなく、一両得になるよう進めてもらいたいと願うのは無理なことであろうか。 |