年の瀬を迎え、我々健康保険組合を取り巻く情勢は、高齢化の急速な進展などにより医療費が増加し、国内経済は回復基調にあるものの、依然として保険財政は厳しい状況にある。
10月から、医療制度改革関連法が6年間7段階にわたる中・長期の改革が走り出したばかり。今後の改革が円滑に進み、持続可能で国民が安心できる医療保険制度になるようにしていかなければならない。
さて、制度改革とともに、政府が力を入れているのが医療分野のIT化の推進である。平成17年12月、政府・与党医療改革協議会がまとめた「医療制度改革大綱」において、「平成23年当初から原則、レセプトのオンライン化」が明示されたことから、レセプト電子化の流れが一気に加速した。ところが、オンライン化への基礎となる医療機関におけるレセプト電算処理の普及率はいまだ低い状況である。支払基金のレセプト取り扱い件数(平成18年10月末現在)で医科は18.0%、調剤73.8%で、歯科にいたっては全く開始されていない。IT化・レセプトオンライン化の実現は、最重要課題であり、今回の方針が後退することがあってはならない。
レセプトオンライン化にあたっては、安全な通信ネットワークによるオンライン化が確実に実現するよう、国は医療機関側の電子化を促進するための施策を講じるなど、体制の整備を図っていただきたい。
また、レセプトデータの有効かつ適切な活用に資するためのレセプト様式の改善、たとえば傷病名と診療行為とのリンク付け、医科・歯科レセプトと調剤レセプトとのリンク付け、市区町村助成制度への対応等、必要な施策を早急に実施していただきたい。
わが国の診療報酬体系とその構造は、度重なる改定結果を反映し、非常に複雑なものとなっている。国民や患者の目線で見ると、理解することは極めて困難である。この際、時代の要請を意識した真の改革を目指し、IT化に適した「簡素・明快」を旨とした合理的な体系とすべきである。そうすることによって、患者は自らが受ける医療の中身を知ることができ、一部負担額を確認することが可能となる。透明度の向上による納得性の確保が重要と考える。
我々は国や審査支払機関などと歩調を合わせながら、IT化・レセプトオンライン化の実現に取り組んでいかねばならない。 |