日本の少子高齢化は世界に例をみない速度で進んでいる。
「こどもの日」にちなんで総務省が発表した15歳未満の子供の数は1747万人で25年連続減少し、総人口に占める割合も13.7%となった。2015年には12.8%まで減少するといわれている。これは第一次ベビーブーム期後の1950年の35.4%に比べて3分の1近くに減少する。一方、65歳以上の高齢者の人口比は昨年20%を超え、2018年には27.3%、子供の倍以上になる。また、75歳以上の後期高齢者の割合も13.7%となり、子供を追い抜くことになる。
医療給付費で見ると昨年の28兆円のうち後期高齢者分が11兆円、2025年では48兆円になると想定すると、その半分の24兆円を占めることになるといわれている。
このような超高齢社会を目前にして、医療給付費を適正にするさまざまな取り組みは絶対に必要不可欠である。国をあげて「医療制度改革」に取り組んで実現させなければならない。
ところが、社会保障の柱の一つである年金給付費は2025年には現在の1.35倍の伸びにとどまるのに対し、医療給付費は現在の1.75倍と大きな伸びとなっており、まだまだ「医療制度改革」だけでは医療給付費適正化への取り組みが甘いと言わざるを得ない。「検査漬け、薬漬け」といわれる日本の医療。診療報酬は診察、検査、投薬といった個々の医療行為で報酬額が決まっており、医師が報酬を増やそうと患者に必要以上の医療行為をしがちである。病気の種類ごとの定額制の拡大等、まだまだ医療改革への取り組みが必要であり、政府にぜひとも強力なリーダーシップをお願いしたい。
医療給付費適正化を成功させるもう一つのポイントは生活習慣病予防の実効を上げることである。医療保険者は生活習慣病健診の実施を義務付けられ、従来手薄であった被扶養者に対する健診の充実や、生活習慣病のリスクのある者に対する保健指導の徹底など、積極的な予防への取り組みを進めて、内臓脂肪型肥満等を中心とした有病者および予備群の減少という結果を出さなければならない。このためには、レセプトのオンライン化によるレセプトデータと保管を義務付けられた健診データから、医療保険者は健康課題分析が可能となり、被扶養者を含めた個人別の予防対策を行うことが重要となる。
生活習慣病予防対策は国民の健康の保持・増進、医療費の抑制という大きな効果を期待できる反面、医療保険者は人・物・金という大きな先行投資をすることになる。健保組合も非常に大きな痛みになるが、ぜひとも医療改革を成功させ、少子高齢化社会であっても国民が安心して生活できる健康国家日本を作ろうではないか。 |