広報誌「かけはし」

■2006年6月 No.417

 平成18年度第1回保健師連絡協議会決算総会が5月26日、健保連大阪連合会大会議室で開催されました。総会では、平成17年度事業報告と収入支出決算等が承認されました。総会後、「水と健康 〜カイチュウ博士からのメッセージ〜」をテーマに東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎氏による特別講演会が行われました。


 

 総会は、鮫島真理子会長の開会のあいさつに続き、来賓の三洋電機連合健康保険組合の林勝彦専務理事があいさつ。「医療費が年々増加、少子高齢化にかけて膨張を食い止めるため、メタボリックシンドロームの予防に着目し、生活習慣病予防に力を入れる。健康診断保健指導・データ管理の義務付け」など医療制度改革法案についてのお話がありました。
 議事は、議案第1号「平成17年度事業報告」はダイハツの玉木さんより、第2号は「平成17年度収入支出決算」「平成17年度収支残金処分について」は大阪連合会の吉田事務局長より、加えて富士火災の三戸さんより監査報告が行われ、いずれも賛成多数で承認されました。総会後、大阪連合会置田専務理事から「健康保険組合をめぐる情勢報告」(別掲)がありました。

人間科学総合大学教授  東京医科歯科大学名誉教授
藤田 紘一郎氏

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藤田紘一郎氏

  安心の水とは、ヒトにとって有害な物質を含まない、ミネラル分をバランスよく含む、水の硬度が高すぎない、弱アルカリ性など、いろいろな条件が考えられます。
 インドネシアのカリマンタン島へ感染症の調査に行ったとき、生活用水(排泄・洗濯・沐浴)に、利用している川で遊んでいる子供に回虫はいますが、アトピーや喘息はありませんでした。また成人では血圧・中性脂肪が日本人よりよい値で、寄生虫が体内に入るとアレルギーを抑えることがわかりました。水が運ぶ病原体の研究をしているうちに世界の水の調査を始め、40年間で60カ国以上の国を訪ねました。
   

日本の水は安全か

 「日本の水はとてもいい」と昔からいわれてきましたが、汚染されていることがわかりました。工場・家庭などから出る汚染物質が水道水に混入し、さらに金属部品やドライクリーニングの洗浄に使われる有機化学物質による地下水汚染が問題になっています。厚生労働省は水道水に含まれている発がん性物質の疑いがあるトリクロロエチレンなど、汚染物質を規制するための暫定水質基準を決めています。また、大腸菌はWHO・ヨーロッパ・アメリカでは100回の検査で5回位はよいとされていますが、日本の水道法では、1個でも検出されないよう殺菌のための塩素量は世界の国々と比較しても極めて高いことがわかっています。腸のなかに大腸菌をもっているのにもかかわらず…。高濃度の塩素はヒトの皮膚や粘膜に直接、傷害を与えます。さらに塩素によって生じたトリハロメタンは発がん性を示すことが知られています。

水には不思議な力がある

 若返りの水・落ち水の信仰など、その水を飲んだおじいさんが若者になったという昔話があります。雪解け水には生物を活性し若返り作用があります。植物種子の発芽や鳥のヒナの成長を早めたり、牛の乳量を増やしたり、また北極の氷のとけた水には、プランクトンが多くみられました。豪雪地帯に美人が多いことや美味しい米をつくりだすのにも関係があります。
 世界各地の長寿村の飲料水は弱アルカリ性でカルシウム・マグネシウムなどミネラルを多く含んでいます。飲料水が硬水であれば、脳卒中や心臓病の死亡率が低くなることがあきらかになっています。ヒトはカルシウムが不足すると、副甲状腺ホルモンが放出されます。

自分に合う水を探す

 脳梗塞は汗をかく夏場に多く、脱水症状で血液がどろどろになります。予防する水の飲み方は、それぞれコップ1杯ずつ、起床時すぐに1回、午前中に1回、午後に2回、寝る前に1回。特に大切なのは、心筋梗塞の予防と同じく就寝前の水は大切です。
 また熱中症・スポーツなど、汗を大量にかいたときの水分の補給は、水だけだと回復力は半分にしかならず、真水は細胞内外の塩分のバランスが崩れ命に関わることにもなりかねませんので、スポーツ飲料を飲むようにします。
 ダイエットには硬度の高い冷水。美肌には弱アルカリ性の水。寝起きが悪く便秘の強い人は、冷やした硬水のミネラルウォーターを飲むようにします。
 自分の健康状態と、水の性質をしっかり把握すること、自分に合う水を探すことが大切です。

  


禁煙に挑戦しましょう!


 4月の診療報酬改定で、禁煙指導について保険診療の対象となった。1日20本のペースで10年以上喫煙し、ニコチン依存症と診断された者で、直ちに禁煙することを希望する者が対象である。ニコチンパッチも6月から保険適用となる。
 医療のIT化が推し進められているなか、平成23年度当初からすべてのレセプトがオンラインで提出される。
 オンライン化により、レセプトの請求内容等の把握、保険者の保健事業への活用など、医療保険事務全体を通じた効率化が図られる。
 特別健診・保健指導やデータ管理については、健診とその後のフォローを検討し、よりよい保健事業の実施を願う。
 新たな高齢者医療制度の創設や、生活習慣病対策の取り組みを掲げた医療制度改革関連法案は、5月18日、政府原案どおりの内容で衆院から参院に送付され、参院は22日の本会議で審議を開始した。
 療養病床(医療25万床、介護13万床)の再編は、老健施設等への転換により、医療病床として残すのは15万床である。入院患者の追い出しにつながらないよう転換先の確保を図る。
 医療保険制度の一元化については、韓国では2000年に職域と地域保険が統合した。地域保険関係者の所得把握が難しく、職域保険関係者との不公平感が課題であり、保険料負担で国民の不満も気になるところである。