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神代 雅晴氏
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職場におけるVDT作業は70年代中盤に始まり、80年ごろには各職場に普及するようになりました。それに伴って各種指針やガイドラインが定められましたが、現在は各事業者の自主管理に重きが置かれています。VDTのVとDは目とディスプレイの関係、Tはキーボードやマウスなどの端末。VとDの関係で目の問題、Tとの関係で筋骨格系の問題、さらに脳に与える影響からテクノストレスといった問題が生じています。
画面や机を交互に注視しなければいけないVDT作業で問題になるのが眼球の動きと明るさ、視距離。視線移動は大眼筋に、明るさは瞳孔に、視距離は毛様体に影響を与えます。明るさが目に悪影響を与えるのは暗さではなく、明るさのムラ。オフィス全体の明るさと、机の上の明るさ、あるいはディスプレイとキーボードの明るさにムラがないかどうかを確認します。明るさのムラは明暗順応の問題から眼精疲労を起こします。VDT作業に適正な明るさは300〜700ルクスですが、ムラがある場合はデスクランプを使うなどの方策をとります。また、ディスプレイのグレア(不快なまぶしさ)も目に悪影響を与えます。一番いい対策は蛍光灯の反射を防ぐルーバーをつけることですが、コストがかかるので、入射角が30度にならないように調節するなどレイアウトで工夫します。また、白熱球に近い蛍光灯に変えるのも効果的。あるいは、デスクランプを上手に使って蛍光灯とミックスにするとグレアがなくなります。また、光の色温度も作業に影響を与えます。色温度が高い(赤色から青白色へ)ほど、血圧が上昇し、交感神経が興奮、過緊張をもたらします。このような状態はヒューマンエラーを起こす可能性があるので、休憩時には色温度の低い赤系統の照明を使うのもひとつの手段です。 |