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政府は平成13年1月、「5年以内に世界最先端のIT国家になる」(e-Japan戦略)という目標を掲げて、通信インフラ整備など、さまざまな取り組みを実施し、その結果IT化は大いに進展してきた。
医療分野におけるIT化の推進についても「保健医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン(平成13年12月)」のなかで電子カルテと併せてレセプト電子請求の普及目標を設定し、取り組んでいる。それによるとレセプト電算処理システム普及目標値を平成16年度までに病院レセプトの5割以上、平成18年度までに7割以上と見込んでいた。だが、普及は大幅に遅れている。平成17年7月末現在の普及率でみると、医科11.2%(「病院」20.2%「診療所」6.9%)、調剤54.0%、歯科0%(協議機関の設置段階)である。今後はより以上に促進されなければならない状況といえる。
健保連の「医療制度改革への提言」でも主張しているように、現在の医療を患者中心の医療に変えていくためにも、IT化の推進は必然的な流れである。
「患者中心の医療」の実現に向けた関係者の取り組みを可能とするためには、医療情報の共通化・標準化・データベース化、カルテの電子化、レセプト請求の電子化、支払い事務の効率化、被保険者証のICカード化と資格確認システム、診療報酬体系の簡素化など保険運営におけるIT化による情報基盤の整備が不可欠であり、その促進に向けた施策が講じられなければならない。
こうした動向のなかで、レセプト電子データの保険者への提供に関連して、健保連は平成15年度から3年間にわたり、国の特別保健福祉事業助成金交付を受けて「レセプト情報管理システム」の開発に取り組んできた。
そして健保組合向け地区別説明会が6月より全国10カ所で開催された。同システムは支払基金から健保組合へ渡されるレセプトを電子媒体で受け入れることを可能とし、その電子データを活用することにより、健保組合の基幹業務の効率化と医療費適正化を図るのがねらいだ。
しかし当面する課題は多い。@レセプト電算処理システムの今後の普及状況 A支払基金からのレセプトデータ提供項目 B紙レセプトの電子媒体化にかかる支払基金の提供単価 Cシステム導入に係る諸経費の早期提示 等の意見が出ており、解決に向けた積極的な取り組みが求められている。
医療分野のIT化の推進は、国の重点課題として掲げられているところであり、医療機関、支払基金、健保組合まで一貫したシステムの構築の実現を期待する。 |
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(宏) |
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