広報誌「かけはし」

■2005年8月 No.407
時評

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健康食品、サプリメントの有効利用と医薬品との相互作用

〜特定保健用食品を中心として〜

徳山尚吾氏


 7月13日、健保連大阪中央病院で保健師連絡協議会研修会が開催され「健康食品、サプリメントの有効利用と医薬品との相互作用〜特定保健用食品を中心として〜」をテーマに、神戸学院大学薬学部教授の徳山尚吾氏による講演が行われました。


サプリメントとは

 サプリメントは「栄養補助食品」と訳されることがありますが、明確な定義はありません。医薬品と健康食品・サプリメントは薬事法で区分され、保健機能食品として特定保健用食品と栄養機能食品があります。特定保健用食品は個別許可型で、血圧やコレステロール、便通などからだの構造や機能に影響する保健機能成分を含んだ食品。栄養機能食品は基準を満たせば許可される規格基準型です。
 保健機能食品は作用別に分類されています。血圧が高めの方の食品はペプチド類を主成分とし、アンジオテンシン変換酵素阻害作用と同様の機序で血圧の上昇を抑制します。血糖値が気になり始めた方のための食品は糖吸収に作用するものが中心。これらの食品のなかには血糖値にはよくてもナトリウムが多く腎臓病の人には不向きのものや、血圧によくても糖質が多く、糖尿病の人には向かないものがあるので、カロリーやタンパク質、ナトリウムの含量などを確認し、幅広い指導を心がけましょう。

サプリメントと 医薬品の相互作用

 医薬品の相互作用には本来目的とする血中薬物濃度を変化させる薬物動態学的相互作用と、血中薬物濃度は変わらなくても、作用の増強や低下を招く薬力学相互作用の2つがあります。
 サプリメントにも医薬品との相互作用が懸念されるものがあります。たとえばセントジョーンズワートは薬物代謝酵素が誘導され、ワルファリン、ジゴキシン、テオフィリン、経口避妊薬などの医薬品の効果を減弱させます。また、イチョウ葉はアスピリンやワルファリンなどの抗血栓薬との併用で出血傾向を促進させ、エキナシアは免疫抑制剤やステロイドの免疫抑制作用を減弱させます。カモミールやショウガ、ニンニクなどはアスピリンやワルファリンなどの作用を増強し、出血傾向を促進します。こうした相互作用は常にデータベースなどで最新のエビデンスを入手しましょう。
 サプリメントや健康食品の健康被害も深刻。医薬品や未認可の成分が入っている場合があり、特にダイエット関連では、死亡事例も含め多数の健康被害が報告されています。サプリメントはパッケージに名称や原材料、賞味期限、保存方法、内容量、製造者、摂取方法、量、取り扱い上の注意、成分の含有量などが明記され、誇大表示のないもの、信頼性のある規格を取得しているものを選びます。高い効果や即効性をうたったものは要注意。保健機能食品の実効性を高めるためにも、医療従事者は患者や消費者に対して的確な対応ができるよう、日々研さんを積むことが必要でしょう。

講演後はグループワークを実施