広報誌「かけはし」
  
■2004年10月 No.397

腎臓病は早期発見が大切
   
 「腎臓病は早期発見が大切」と題し、健保連大阪中央病院医務局長補佐の竹山政美氏による健康教室が9月22日、薬業年金会館で開催されました。

●危険信号に注意
 

竹山政美氏

 腎臓は尿を作る器官で、背骨を挟んで左右に一つずつあります。一つの腎臓に100万個以上あるネフロンという組織で尿が作られるほか、体内環境のバランス維持、血圧調整、造血の補助、ビタミンDの活性化などの働きがあります。
 腎臓病の危険信号は全身のむくみや尿の変化、体のだるさ、食欲減退など。尿タンパクや尿沈査、血液検査のクレアチニンや血中尿素窒素の数値にも要注意。
 腎臓病は腎臓そのものが悪くなって起こる場合と、他の疾患から影響を受けて発症する場合があります。ほとんど自覚症状がなく進行するので早期発見が重要です。腎臓病には原発性糸球体腎炎や糖尿病性腎症、腎硬化症、多発性のう胞腎などがあり、なかでもIgA(免疫グロブリンA)腎症は日本人に多く見られます。悪化すると慢性腎不全に陥り、透析が必要になることもあります。そうなると回復しません。進行をくい止めるためにも早期の治療で腎臓をいたわりましょう。治療には食事療法や薬物療法、透析療法、腎移植などがあります。血液透析は体内の老廃物や水分を除去して血液をきれいにする治療法。腹膜透析という方法もあるので、ライフスタイルや環境に合わせて選択します。

  
●早期発見には検尿
  
   腎臓病の診断のために重要なのが検尿です。我が国の透析患者は年々増加しており、2002年末には約23万人に上っています。その原因として多いのが糖尿病性腎症。こうした患者を減らすためにも重要なのが検尿による早期発見です。尿の色調や量、白血球や赤血球の有無、タンパク、糖尿などを調べることができます。肉眼的血尿が出た場合は、尿路の癌や結石など泌尿器科的疾患を疑います。
  
●血尿は原因究明を
  
   血尿は病気のサイン。原因を突き止めることが大切で、十分な検査もせずに止血剤などを処方する病院は信頼できません。原因を突き止めるにはさらに検尿、尿検査、入細胞診、尿路超音波検査、尿路造影、膀胱尿道鏡などの検査を行います。
 尿タンパクは腎疾患の重要な兆候であるだけではなく、腎障害進行の予後決定因子です。だからこそ、きちんと検査をしておかなければいけません。尿タンパクが持続的に陽性なら、腎生検が必要です。間欠的に陽性であれば蓄尿を行って検査します。蓄尿は1日の尿を全量蓄積し、そこに何がどれだけ排出されるかを明らかにする検査です。
 大切なのは定期的な健康診断による早期発見、危険信号を見逃さないこと、早期治療、適切な食事療法、自分にあった透析療法に加え、家族の支えです。これらに注意して腎臓と上手につきあっていきましょう。
  
 

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