広報誌「かけはし」
 
■2003年8月 No.383
時評

新たな診療報酬体系 
― 特定機能病院における包括評価 ―

   本年4月から、特定機能病院の入院医療費の支払いに、新しいDPCと呼ばれる診断群を用いた包括払い方式が導入された。
 包括評価の対象となる特定機能病院は、大学病院、国立がんセンター、国立循環器病センターの全国で82施設。特定機能病院の一般病棟の入院患者で、傷病名等が1、860の診断群分類に該当する患者である。ただし、入院後24時間以内の死亡や臓器移植患者などは除外されている。
 診療報酬の額は、包括評価部分と出来高部分を合算した額となる。
 包括評価部分の点数は、診断群分類毎に設定された1日当たり点数に医療機関別係数と、入院日数を掛け合わせた点数の合計である。
 包括評価の範囲は、医療機関のコスト等の適切な反映(ホスピタルフィー的要素)の入院基本料、画像診断、投薬、注射等である。出来高評価は、主に医療技術の適正な評価(ドクターフィー的要素)の手術料、麻酔料、内視鏡検査等である。
 診断群分類毎の1日当たり点数は、在院日数に応じた医療資源の投入量を適切に評価する観点から、在院日数に応じて3段階に設定されている。入院期間の長い医療機関ほど1日当たりの包括された点数が低くなり、在院日数短縮のインセンティブが組み込まれている。
 医療機関別係数は、各病院の機能や前年度の医療費実績を加味したもので、それぞれに異なる。つまり、包括点数は、同じ疾患で同じ日数の入院であっても、病院によって違ってくる。
 今回の包括評価導入により、特定機能病院ごと、あるいは診断群分類ごとに平均在院日数などが公表された。各病院の情報が公開されることにより、同一疾病でも入院日数・医療費に著しい格差など病院間相互の比較が可能となる。したがって治療行為やおおまかな入院期間を知ることができ、患者サイドからも厳しい目で選択されていくのではなかろうか。そこで、各医療機関が在院日数短縮に向けて競争していくであろう。
 特定機能病院の包括評価は、新たに開発された診断群分類「DPC」ごとの入院1日当たり定額払い制である。「簡素でわかりやすい診療報酬体系の確立」へのスタートであり、対象病院を大学病院等にとどまらず民間病院や規模の大きい病院にも拡大していくことを望みたい。
  (宏)