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風さわやかな季節が到来したが、長引く経済不況とともに、我々健康保険組合を取り巻く情勢もなかなか暗いトンネルから抜け出すことはできない。
このような状況下、健康保険法等の一部を改正する法律附則第二条第二項の規定に基づく、医療保険制度体系等に関する基本方針が去る3月28日閣議決定された。
その内容を見ると、医療保険制度の改革等の基本方針の具体的内容、手順および年次計画を明らかに策定すると明記されている。健保連の見解にもある通り、老人保健制度および退職者医療制度の廃止、後期高齢者への別建て保険料の導入等、現状改善の努力が見えるが、いくつかの点について疑問が残る。
一点目は、保険者の再編・統合の中での健保組合の扱いである。
基本方針では、健保組合については小規模・財政窮迫組合の再編・統合を進めるとあるが果たして可能だろうか。
小規模対応については、健全、かつ安定的な運営がされている全国展開・府県単位の組合は存続させるとなっており、昨年12月に出た厚労省試案より若干変化が見られ評価できるところである。
しかし、財政窮迫組合の再編・統合となると、現実問題として不可能な提起であると言わざるを得ないものであり、この点に注視すれば財政調整問題とリンクしているように思うが考えすぎだろうか。
いずれにしても、今後、納得のいく整理をして、速やかに具体的内容を明らかにしてもらいたいものである。
二つ目は、高齢者医療制度問題である。
基本方針によれば、後期高齢者については加入者の保険料、被用者保険からの支援等により費用を賄う新たな制度に加入することになるが、果たして拠出金制度が抱える多くの問題点がどこまで解決されることになるのだろう。
なぜならば、今回案では、国庫負担水準は現行を維持するといいながら、負担割合如何によっては現行の拠出金制度のすり替えに他ならないことになるからである。
高齢者の自己負担には限度があり、被用者に頼るという点についてはある程度止むを得ない。しかし、この問題を含め全ての制度においてネックとなるのは財源であり、その解消には消費目的税をも視野にいれた、公費負担増で対応すべきであると思うが如何なものか。
今回案は平成17年度法案提出、20年度実施を目途としているが、健保組合の財政の危機を考えれば一日も早い実現を期待したいものである。 |
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(隆) |
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