広報誌「かけはし」

■2003年2月 No.377
  中央情勢報告
  本部常任理事会(1月9日開催)の主な内容。

制度改革をめぐる動き

・高齢者医療制度・財政調整ワーキンググループは、1月7日、厚労省の制度改革試案について議論した。
 会議には厚労省保険課長、調査課長が出席し、厚労省試案の説明、健保連との質疑応答が行われた。
・厚労省側の回答は、曖昧で抽象的な部分が非常に多く、健保連側の質問に対してはっきりした答えがなく、期待はずれの内容であった。
・昨年末の健保連の厚労省試案に対する見解で指摘したように、試案は安定持続した制度への解決策になっていない。
・新たな制度改正の財政影響について見ると、出発点の19年度だけの試算で、その先5年間、24年までではどうなるのかという試算はやっていないというのだから、制度の安定持続が保証されているとはいえない。
 また試算の前提になる医療費の伸びについて、高齢者が3.2%、一般が2.3%の伸びとしている。
 経済成長の範囲内で医療費の伸びを見るという、これまでの政府のやり方は、デフレが続く状況のなかでは見直さなければならないのに、そういう状況に対する認識に欠け、対応する政策が盛り込まれていない。
 マイナス成長もありうるなかで、3.2%なり2.3%の医療費の伸びを見て、足りないものは保険料でといわれても納得できない内容だ。
・厚労省は、1月16日に医療団体、17日に支払三団体に対する制度改革についてのヒヤリングを行うこととしている。
 健保連は昨年末の厚労省試案に対する見解をベースに、経済三団体が1月6日新年会で提言した消費税引き上げに対する考え方(健保連としても高齢者医療の財源としての消費税導入は必要と考える)をプラスしてヒヤリングに対応する。
 支払三団体の連合、経団連とは制度改革について、まだ意見が一致していないところもあるが、相通ずるものは統一して主張し、独自のところは独自でものを申してゆくことで今回は臨むことにしている。

 

平成15年度健保連事業計画(案)

・事業運営の重点
(1)高齢者医療制度を含む制度改革の推進
・14年度改革で先送りされ附則に盛り込まれた抜本改革実現に向け、的確で弾力的な対応。高齢者医療制度は拠出金によらない別建ての社会保険制度の構築を主張。老健拠出金の法制面の検討と、行政訴訟等の具体的方策の検討。
・医療保険制度の社会保険方式堅持の主張と世論形成。改革の基本方針については、策定される内容に即して対応。
・介護保険制度見直しに向けての調査・研究と検討。
(2)診療報酬体系見直し等医療費適正化対策の推進
・入院医療の疾病別定額制、外来医療の包括払い方式導入等、診療報酬体系の根本的見直しの検討など。
(3)患者中心の医療を実現させるための医療提供体制の改善および保険者機能強化
・医療提供体制の課題検討と解決促進。インターネットによる病院情報システムの構築と展開。医療・医療保険分野のIT化促進等。
(4)組合事業運営の円滑な推進
・総報酬制導入に伴う新たな交付金交付事業の展開。財窮組合、指定組合への対応。企業会計方式に準じた貸借対照表、損益計算書作成支援など。
(5)健保組合の保健福祉事業の推進
(6)広報活動の充実・強化
(7)調査・研究事業の継続・強化
(8)組織活動の強化
・対外活動の強化
(9)本部および地協・都道府県連合会の業務運営の一層の見直しと効率化の促進
・既存事業見直し、地協・都道府県連合会のあり方等組織問題の検討。