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■2002年10月 No.373 |
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「最も多い対人関係ストレスとトラブル〜対人関係の理解のために〜」と題し、大阪樟蔭女子大学・人間科学部心理学科教授の夏目誠氏による心の健康講座が9月20日、薬業年金会館で開かれました。 |
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●職場のストレス原因は対人関係 |
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職場で一番多いストレスが、対人関係といわれます。心理学や精神医学はその対人関係を理解する一つのヒントです。
ある女子大生は友人の輪に入れず悩んでいました。人の輪に入るということは、大きなポイントで、会社で人の輪に入れなければ共同作業ができません。対人関係の出発点は母親との関係です。子どものころの親子関係が現在の人間関係に影響を及ぼすことはあります。また、彼女の場合人の目を非常に気にする、他者指向性が強いと考えられます。しかし、彼女は自分から人の輪に入ろうと行動を起こした点が評価できます。このように現実を認知し、行動を通して人間を変えていくという療法を認知行動療法といいます。
さらに彼女は、芸能やスポーツなど友人たちの話題をくだらないと感じていました。しかし、同世代の人間と大差がないのにこれをくだらないというのは、その人にゆがんだ価値観があるのではないかと思います。差し障りない話題の雑談は、相手の性格や考え方などを知り、人間関係を深めるためにも有益です。
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●傷つきやすくプチ引きこもりに |
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また、25歳の総合職の女性は職場で一般職の女性から孤立し、新任の上司ともうまくいかず悩んでいました。上司とうまくいかない事例では、親子関係に問題があるケースがよく見られます。これは置換といい、親に対するマイナス感情が親によく似た上司に対するマイナス感情に置き換えられる現象です。また、自分のいやな面を他人の中に拡大鏡で映し出して見いだし、心理的嫌悪感を感じる場合もあります。このように原因がわかれば問題が解決できるケースもあります。
対人関係の難しさには、個人個人で物事の受け取り方がみんな違うという点も上げられます。受け取り方は性格や価値観、認知などによって形成されますが、これらは雑談を通じ知っていくことが大事です。また、最近は以前よりも物事の受け取り方が過敏になってきたと思われます。傷つきやすいためにすぐ「プチ引きこもり」などに逃避してしまいます。
職場の人間関係は難しいものですが、合わない人がいて当然と考えましょう。すべての人とうまくいくわけでも、すべての人に好かれるわけでもありません。みんな同じです。それを抑制して生活するのが職場です。転勤によっていやな上司とも離れることができると思えば気が楽になります。そして「仕事は仕事、遊びは遊び」と考え、自分の世界を大切にすれば、職場の対人関係も少しは楽になるのではないでしょうか。 |
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講演の前に、まずリラックス体操を
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