前号の”かけはし“で大阪府社会保険診療報酬支払基金から、資格関係誤りレセプト発生防止のための協力を求められている。平成13年度府下健保組合の資格関係再審査は12万8、000件、14億6、000万円とあるが、これは府下医療機関分のみであり全国の医療機関に対する申し出は約20万件、22億円にも達するそうだ。
支払基金が平成12年から実施している「資格関係誤りレセプト発生防止対策」は3年間で発生件数を半減させるという目標設定だが件数、金額とも大きな減少とはなっていないようである。これは昨今の社会情勢から被保険者資格の得喪が増加している事で、誤りレセプトの自然増を引き起こし、種々の取り組みによる成果を呑み込んでいると支払基金では分析されているようである。全国一斉に8月と2月の月間にキャンペーン活動を行ったり、誤りの多い保険医療機関に対する面接懇談や文書連絡による積極的な対策での大きな効果を期待したいものである。
”大阪府医師会社会保険通報“では医療機関に受給資格の確認や証の記号番号の転記誤りに万全の注意を促している。しかし誤りの発生は保険者側、患者側の責任によるものが多数で医療機関にとって大きな損失であるともされている。再請求先が不明であったり診療報酬の支払いがなされない例もあるだろうが、返戻・照会したもののてん末を知りたいものである。
資格喪失証未回収による初診がそんなに多くを占めているのだろうか。証更新の旧証回収も挙げているが、新証交付時に旧証と交換するのが基本で、更新時に記号番号が変わる事などは稀であると思われる。記号番号の誤り、本人・家族の誤り、認定外家族、該当者なし、重複請求の合計約4割の解消にはほとんど保険者の責任は及ばない。
「医療保険制度の運営効率化に関する検討チーム」の報告に被保険者証のカード化を進め、受診時の医療機関が資格を確認するシステムを導入する案がある。仮に磁気カードの被保険者証ができたとしても受診時毎にカードリーダーに通さなければチェックが働かない。
現行の被保険者証であっても証の確認を行えば多くを占める資格喪失後の受診のほとんどが解決することにならないだろうか。
保険者としては資格喪失者の証回収に努めなければならないし、また受診時に受給資格確認のため被保険者証を提出するよう受診者教育も必要であることは言うまでもない。
(充)
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