広報誌「かけはし」
■2002年3月 No.366

   平成13年度第2回保健師連絡協議会総会が3月8日、健保連大阪中央病院で開催され、14年度事業計画案と予算案を承認しました。総会後、大阪府立健康科学センターの嶋本喬所長の特別講演会「『健康日本21』の実践から〜保健事業の展開、活動のあり方について〜」が行われました。

   総会は沖中奈美子会長の開会あいさつに続き、来賓の東洋紡績健保組合楠田満俊常務理事があいさつ。楠田常務理事は地道な保健師活動の重要性と周囲の理解を得るためには積み重ねが大切と力説し、その努力を「ただ見れば何の苦もなき水鳥の 櫂に暇なき我が思いかな」という歌になぞらえて参加者にエールを送りました。さらに、保健師や事務局の活動について「全体を俯瞰する鳥の目、目の前のことをしっかり見据える虫の目、水面下に潜在化している問題を見つけだす魚の目の、3つの役割を果たすことが大切」と指摘。「この1年の成果を確認し、足らざる点は来年の活動につなげてよりよい健康保険組合づくりに努めてほしい」と締めくくりました。
 議事は、第1号議案で「平成14年度事業計画(案)」が発表された後、第2号議案で「平成14年度予算(案)」が大阪連合会の吉田事務局長から提案され、両議案について賛成多数で可決。総会後には大阪連合会の置田榮克専務理事から「健保組合を巡る情勢報告」(別掲)がありました。

特別講演会 「健康日本21」の具体的実践から
〜保健事業の展開、活動のあり方について〜

   地域保健活動で脳卒中予防に成功
大阪府立健康科学センター嶋本喬所長
   私は昭和56年から「健康日本21」のもとになる具体的な保健事業を茨城県の協和町で実践してきました。ここでは脳卒中の予防対策を展開、成果を上げています。地域保健は住民が中心になり、それを行政がサポートしなければ実施が困難です。このときは地域住民がリーダーとなったほか、技術面では医師会や検診協会の協力を得、まず二次予防に重点を置きました。しかし、それだけでは高血圧そのものを予防できません。町ぐるみで減塩運動を展開、食品業界や学校などにも協力を呼びかけ、地域という組織全体で保健活動を進めていきました。
 その中で実施したのは尿中の塩分排出量の測定や栄養調査、食事指導などがあります。その結果住民の血圧がだんだん下がってきました。これは薬の効果もありますが、様々な生活改善もあわせ、減塩が奏功しているのは確実です。これによって薬を飲まなくても正常血圧を保っている人の割合も増加しています。また、脳卒中も人口割合から見てかなり減りました。
 私は老人保健事業三次計画から国の委員になりました。そのときから一次予防の充実が重視されるようになりました。さらに四次計画では優先的に取り組む疾患として生活習慣病がとり上げられ、基本健康診査とヘルスアセスメントが個人の特性を考慮しながらも集団を対象とする手法としてあげられています。当初は個別健康教育が重視されていましたが、やはり集団での予防が必要です。これらに加えて、要介護状態の予防と介護に携わる家族の健康管理もあげられていますが、これは非常に重要です。

   都市部での研究やフィードバックも重要
   私は昭和56年から「健康日本21」のもとになる具体的な保健事業を茨城県の協和町で実践してきました。ここでは脳卒中の予防対策を展開、成果を上げています。地域保健は住民が中心になり、それを行政がサポートしなければ実施が困難です。このときは地域住民がリーダーとなったほか、技術面では医師会や検診協会の協力を得、まず二次予防に重点を置きました。しかし、それだけでは高血圧そのものを予防できません。町ぐるみで減塩運動を展開、食品業界や学校などにも協力を呼びかけ、地域という組織全体で保健活動を進めていきました。
 その中で実施したのは尿中の塩分排出量の測定や栄養調査、食事指導などがあります。その結果住民の血圧がだんだん下がってきました。これは薬の効果もありますが、様々な生活改善もあわせ、減塩が奏功しているのは確実です。これによって薬を飲まなくても正常血圧を保っている人の割合も増加しています。また、脳卒中も人口割合から見てかなり減りました。
 私は老人保健事業三次計画から国の委員になりました。そのときから一次予防の充実が重視されるようになりました。さらに四次計画では優先的に取り組む疾患として生活習慣病がとり上げられ、基本健康診査とヘルスアセスメントが個人の特性を考慮しながらも集団を対象とする手法としてあげられています。当初は個別健康教育が重視されていましたが、やはり集団での予防が必要です。これらに加えて、要介護状態の予防と介護に携わる家族の健康管理もあげられていますが、これは非常に重要です。

情勢報告

   健保法等一部改正案の要点
健保連大阪連合会 置田榮克専務理事
   このように農村については研究が進められていますが、都会についての研究も必要です。都会は農村とは環境が違います。農村はかつて脳出血が主役でしたが、こちらは脳梗塞や心筋梗塞が主役です。どういう要素が絡んでいるかを調査し、地域住民にフィードバックすることが大切です。これがうまくいくと「健康日本21」は成功すると思います。しかし、現在のところ国でつくった「健康日本21」は全国一律に同じマニュアル、同じガイドラインしか示していません。今後地方版として地域や職域による特性などを考慮したものの作成が必要です。
 都市部の対応策として私が薦めたいのは従来の検診項目のみでなく頸部エコー検査と血液の凝固性についての検査。これらについてはマニュアルなども作り、測定方法や判定の技術も標準化していく必要があります。
 一方、ストレスと血圧の関係も研究によって因果関係が指摘されています。ストレス自体は避けられませんが、これを積極的に問題解決しようとする人は血圧値が比較的低いという調査結果が出ています。
 大阪府立健康科学センターでは生活習慣病のうち研究の遅れていた睡眠の障害に関する研究も行っており、パルスオキシメトリーを使った検査などを実施しています。また前述の循環器系やストレス、冷え、冷房病などの研究も行っています。これらについて見学を希望する方はセンターへお問い合わせください。