尊厳死と安楽死は、よく混同されがちな言葉です。しかし、この二つの言葉には決定的な違いがあります。ただ言葉の定義は必ずしも確立したものではないことは確かです。
日本尊厳死協会(設立当時は日本安楽死協会と名乗っていた)では、尊厳死とは、『患者が「不治かつ末期」になったとき、安らかに人間らしく自然な死を遂げること。そのため、患者はあらかじめ署名押印したリビング・ウイルを医者に見せて、無意味な延命治療をやめてもらうこと』と定義しています。
一方、安楽死は第三者が、患者の苦痛を見るに見かねて死なせることであり、死なせた責任は第三者(多くの場合医師)にあります。
安楽死裁判の判例として安楽死が許される条件として、@患者に耐え難い苦痛が存在する。A患者の死が避けられず、かつ死期が迫っている。B患者の肉体的苦痛の除去、緩和のための手段が尽くされ、代替手段がないこと。C生命の短縮を承諾する患者が明示した意思表示がある―の4条件を示しています。
したがって、二つの定義が一致するのは、本人の意思が明示されているかどうかがポイントです。
健康保険財政の問題も含めて、二つの言葉の定義をひとつにまとめて法制化すべきですが、未だ議論が絶えないのが現状です。
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