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■2001年11月 No.362 |
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「不安症・パニック等を代表とする神経症の最近の話題」と題して大阪府立こころの健康総合センター診療課長の漆葉成彦氏が10月18日、薬業年金会館で講演をしました。 |
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●心理的原因による精神疾患について |
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精神疾患の原因には脳そのものや薬物、アルコールなどの摂取による脳機能の障害である「身体因」、体質的素因による「内因」、心理社会的ストレスや人格による「心因」があります。
続いて心理的原因による精神疾患(ICD―10による分類)として「恐怖症性不安障害」、「他の不安障害」、「強迫性障害」、「重度ストレス反応および適応障害」、「解離性(転換性)障害」、ストレスが身体に出てくる「身体表現性障害」、「他の神経症性障害」に分類されます。
「他の不安障害」のなかの「パニック障害」は昔は不安神経症、過換気症候群といわれていたもので、概念としては、「自然発生的な予期できないパニック発作を特徴とする。パニック発作とは、比較的短時間持続(10〜30分位)する強い不安ないしは恐怖であり、動悸や呼吸促迫などの身体症状を伴うもの」とあります。男女を比較すると女性に多く、青年期後期、成人早期に発症します。
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●神経症障害の概念、症状など |
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「強迫性障害」は、「不合理であると分かっているにもかかわらず、強迫観念、強迫行為のために日常生活が大きく障害されているもの」で、強迫観念、強迫行為の他、不安や抑うつの症状があります。この強迫性障害は男性に多く、さらにものにこだわりやすい性格に多いといえます。治療としては、SSRI(選択的セロトニン再吸収阻害剤)、抗不安薬等の薬物療法、行動療法があります。
「重度ストレス反応および適応障害」に含まれる「外傷後ストレス障害」。これは最近、さまざまな事件を通して一般によく知られるようになりましたが、この概念としては、「外傷的体験(自分自身が死にそうになる、あるいは重傷を負うような出来事を体験する。他人の体験を目撃する)後数週間から数カ月にわたる潜伏期間を経て発症する。(ほとんどは6カ月以内)」とされ、それをいわれるようになった代表的なものとして、ベトナム帰還兵症候群があり、出来事についての反復的で苦痛な夢など再体験や外傷を想起させる活動、場所または人物を避けようとする努力など回避、いつも緊張している状態の過覚醒があります。若年層に起こりやすく、また女性や子供、高齢者に多いのです。
神経症の治療には薬剤、認知行動療法他、ソーシャルおよび社会的サポートが必要です。 |
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