広報誌「かけはし」
■2001年6月 No.357
時評
 多すぎる被保険者証の未確認
 

  「再審査容認件数を3年間で半減」の取り組みについては前号の「言わしてんか…」で投稿があったが、これに併行して支払基金では「資格関係誤りレセプト発生防止対策」を実施している。この対策も「平成12年度から発生件数を3年間で半減させる」目標を設定している。
 第63回全国基金幹事長会議の状況を報じた『月間基金』の特集号で、前者は着実な成果が現れているが、後者は「十分な実績が現れているとは言えない」とあり、行政機関・診療担当者団体・保険者団体の関係者すべてが、それぞれの立場で協力しあうことが必要不可欠としている。対策の強化についての中で「資格関係誤りレセプトの発生は平成11年度で565万枚、診療報酬の額にして996億円が、支払基金を通じて保険者と保険医療機関の間を往来している。これらは支払基金のみならず保険者および保険医療機関においても、多大の時間と労力を強いる結果になっており、医療保険制度の効率的な運営を阻害している」と述べられている。全くもってそのとおりである。
 『保険医療機関および保険医療養担当規則』第3条には被保険者証により受給資格の確認が規定されているところである。
 誤りレセプトの発生の追跡調査では初診および再診時の被保険者証の未確認が54・3%もあり、さらに被保険者証からカルテへ、カルテからレセプトへの記号番号等の転記誤りが28・1%もあることも判明している。であれば、ここは保険医療機関に頑張っていただくと半減(50%)はおろか、目標を大きく超えた82・4%にもなる。
 こんなひどい例もある。平成9年4月27日喪失(証回収5月6日)で、12年11月初診のレセプトがあり、ご丁寧に11月から1月まで3カ月も続いたのである。ほかにも平成9年、10年の資格喪失者(もちろん証回収済)で最近の初診日が記載されている例もあった。喪失後3〜4年たっての未確認初診もレアケースとは言えない状況である。
 被保険者への受診教育や喪失者の証回収義務が保険者にあることは言うまでもないがいずれの半減計画も保険医療機関の「適正なレセプト」提出が解決してくれることになりそうだ。 (充)