表1のように男性で最も死亡者の多い肺がんが、罹患者数では胃がんに大きく引き離されているのはどういう理由によるのでしょうか。
女性の乳がん、子宮がんは以前から70%を超える高い生存率を示していましたが、胃がん・結腸がんも近年著しく生存率を高め、ほぼ70%に達しています。
これに対し、肺がんは、徐々に生存率を高めてきてはいますが、現在でもせいぜい30〜40%にとどまっています。つまり肺がんは、乳がん、子宮がん、胃がん、結腸がんにくらべて治りにくいがんなのです。それが罹患数が少ないにもかかわらず、肺がんが死亡率第1位に位置する理由です。
しかし、これからはどうなるのでしょうか。男性では罹患者数においても肺がんが胃がんを抜くと予測されています。女性では結腸、乳房、胃に続く第4位です。両性を合わせると、肺がん・胃がん・結腸がんの3者がほぼ拮抗した数になります。ですから肺がん死亡者はダントツになると予想されます。また注目しなければならないことは、
2015年には、がん罹患者数は男女合わせて88万人と予測され、現在の44万人のほぼ倍と考えられることです。がん対策が緊急の検討課題であることを示しています。 |
|
部位 |
性 |
羅患数 |
|
全部位 |
男 |
251,919 |
女 |
188,082 |
1 |
胃 |
男 |
64,614 |
女 |
33,377 |
2 |
結腸 |
男 |
30,958 |
女 |
22,387 |
3 |
気管、気管支および肺 |
男 |
36,590 |
女 |
13,832 |
4 |
肺よび肺内胆管 |
男 |
23,467 |
女 |
8,841 |
5 |
乳房 |
男 |
- |
女 |
28,086 |
6 |
直腸、直腸S状結腸移行部および肛門 |
男 |
16,388 |
女 |
9,671 |
7 |
子宮 |
男 |
- |
女 |
17,013 |
8 |
膵臓 |
男 |
8,885 |
女 |
6,947 |
9 |
胆のうおよび肝外胆管 |
男 |
6,937 |
女 |
8,476 |
10 |
食道 |
男 |
9,255 |
女 |
1,988 |
11 |
前立腺 |
男 |
10,940 |
女 |
- |
12 |
膀胱 |
男 |
7,886 |
女 |
2,697 |
13 |
悪性リンパ腫 |
男 |
5,895 |
女 |
4,620 |
▲表1 各臓器がん羅患数 |