広報誌「かけはし」
2001年2月25日 No.353
 
  拠出金大幅増で財政危機深刻に  
・・健保連本部に、高齢者医療制度創設などへの積極的対応を緊急要請・・
 大阪連合会は会員組合の13年度老人保健、退職者給付両拠出金の状況を緊急調査した。その結果、両拠出金合計で前年比110%と大幅に増え、保険料収入に対する拠出金の割合も43%を上回った。被保険者負担の限界を超える額で、組合財政を大きく圧迫していることが判明した。
 大阪連合会はこの調査結果をもとに2月8日健保連本部に対し、「国庫負担導入実現」「現行拠出金制度の廃止」「新しい高齢者医療制度の14年度創設」などへの積極的な対応を要請した。207組合(91.2%)から回答があった。その概要は次のとおりです。
 
1.被保険者数
   被保険者数は約200万人で前年比40,176人減(98.03%)と大阪の厳しい経済環境をもろに反映し、組合数の減少と共に平成7年以後連続して減少している(平成7年度から約40万人減)。
2.保険料収入
   保険料収入は、料率を止むを得ず引き上げた組合が約25組合(12.08%)にものぼったことにより、100.24%の微増となっている。
3.老人保健拠出金
   老人保健拠出金は、前年比109.10%と大幅に増加し、被保険者1人当たりでみると131,704円となり、前年比13,360円(111.29%)も増加している。
4.退職者給付拠出金
   退職者給付拠出金は、前年比118.06%と退職被保険者の増加と相侯って大幅に増加している。被保険者1人当たりでみると、33,434円と前年比5,670円(120.42%)増加する。また、前々年度精算額が前年の3倍にも増加しており、負担増に拍車をかけている。
5.老人保健・退職者給付両拠出金
   老人保健・退職者給付両拠出金合計では322億円も増加し、前年比110.80%と2桁の増加となったが、保険料収入の伸びは18億円にすぎず財政を一段と悪化させている。また両拠出金の被保険者1人当たりでは165,138円で、前年比19,030円増(113.02%)と保険料収入の伸び(8,407円増)を2倍強も上回っている。
 なお、組合別に被保険者1人当たりの平均負担増を比較すると最高417,000円、最低40,000円と著しい格差があり、このような不公平な拠出金制度の歪みが被保険者等の負担において一層明確になっている。
6.拠出金の保険料収入に対する割合
   拠出金の保険料収入に対する割合は、老人保健34.42%、退職者給付8.74%、合計43.15%にもなり、前年に比べ4.11%も増え、組合財政の圧迫を加重している。
 また、50%を超える組合は47組合(22.7%)にものぼり、45%を超える組合数は95組合で半数を超える勢いとなっている。
7.平成14年度老人保健拠出金の見通し
   平成13年度予算の両拠出金がほぼ確定したことにより、平成14年度の老人保健拠出金を推定してみると、12年度の実績から精算額で5%は確実に上昇し、仮に老人医療費の伸びが13年度と同じ9%としても、少なくとも14年度は、前年比14%は上昇することが予測される。また、被保険者数が減少せず退職者給付拠出金が13年度並の増加と見込んでも、拠出金総額では490億円も増加し、被保険者1人当たりでは前年比で24,000円余も増加することになる。
 
 今回の平成13年度予算における拠出金の実態調査により、両拠出金における被保険者負担は大幅に限界を超えており、現状では大多数の組合が法定準備金や別途積立金も枯渇しているのが実態で、一刻も猶予できない事態にあると考えられます。
 当面の対策として、我々が強く主張している国庫負担の導入を実現するとともに現行の拠出金制度を廃止し、新しい高齢者医療制度を平成14年度には創設させることを他の改革に優先する必要があり、本部での積極的対応を切にお願いするものです。
 
平成13年度予算
老人保健・退職者給付拠出金の状況(緊急調査)
(平成13年1月31日現在)
1.対   象     大阪連合会会員組合 207組合の集計(回収率91.2%)
2.拠出金等の状況

(注) 1. 被保険者数増減なし 5組合
  2. 保険料率アップ  約25組合
  3. 退職者給付拠出金で特定健康保険組合(13組合)を除くと、保険料収入に対する割合は1.42%アップする。