広報誌「かけはし」

■2019年8月 No.575
時評

「骨太方針2020」には期待する

 去る6月21日、「骨太方針2019」が閣議決定された。
 社会保障に関する基本的な考え方として、新経済・財政再生計画に基づき、団塊の世代が75歳以上に入り始める2022年までに社会保障制度の基盤強化を進めること。そして、その基盤固めのためには、給付と負担の見直しを含め、進捗を十分に検証しながら改革を着実に推進するとされた。
 具体的な内容として、疾病の予防や健康づくりの推進、年金制度改革、医療・介護制度改革など、今後の対応が示されている。しかし、高齢者医療制度、とりわけ健保組合・健保連がこれまでも訴え続けている「高齢者の負担と給付の見直し」については、まったくといっていいほど触れられていない。
 今回示された給付と負担の見直しは、「骨太方針2018及び改革工程表の内容に沿って、総合的な検討を進め、骨太方針2020において、給付と負担の在り方を含め社会保障の総合的かつ重点的に取り組むべき政策を取りまとめる」といった漠然としたものにとどまった。
 今後も高齢者医療費は増加の一途をたどり、それを支える現役世代が減少していく。この構図は、高齢者数がピークを迎えるとされる2040年頃まで続くとみられ、社会保障制度改革が急がれている状況であるにもかかわらず、現時点では何も対応策が決まっていないように見受けられることは残念でならない。上限の定められていない高齢者医療制度への莫大な拠出金に苦しみ続けている健保組合には、悠長に構えている余裕など一切ないにもかかわらず、だ。
 保険料収入に占める拠出金の割合は、すでに健保組合平均で40%を超え、健保連の試算では、2022年に50%に届くような勢いである。保険料収入の半分が、保険料を納めている加入者以外である高齢者医療への拠出に充てなければならない状況、また、健保組合本来の役目の一つである「加入者の健康の保持・増進」に取り組むための事業すら満足に行えない状況は、まさに異常である。
 2022年になる前に十分な対策を講じておかなければ、国民皆保険制度の根幹を支える健保組合の存続が危ぶまれ、制度維持が困難になることは容易に想像できる。
 骨太方針には「人生100年時代に対応した全世代型の社会保障制度を構築し、世界に冠たる国民皆保険・皆年金の維持、そして次世代への継承を目指す」とも明記されている。政府はこの目的を本当に目指すのであれば、これまでのように、その場しのぎの政策に終始することはもう許されない。
 今まで後回しにして目を背けてきたであろう国民全体による負担の公平化について、制度の現状と行く末を広く周知し、制度改革への理解を得られるよう真摯(しんし)に議論を重ねていただきたい。
 これから検討される「骨太方針2020」の内容には、今から期待している。
  (M・S)