広報誌「かけはし」

■2015年2月 No.521


 健保連の大塚陸毅会長は1月15日、政府の医療保険制度改革案に対してコメントを発表した。コメントでは、今回の案は「国保の財政対策に偏向したもの」とし、「被用者保険を含めた持続可能な制度の構築を志向したものとは言い難い」と批判した。また、さらなる医療費適正化対策の推進などについても言及している。(以下に健保連会長コメント)
医療保険制度改革案の決定にあたって(大塚陸毅会長コメント)
 政府は1月13日、社会保障制度改革推進本部において、医療保険制度改革骨子案を承認するとともに、翌14日、平成27年度予算案を閣議決定した。
 われわれはこれまで、医療保険制度改革の最大の課題は、超高齢化・人口減少が進む中で増加し続けている高齢者医療費に対する負担構造の見直しであり、現役世代に過度に依存する現行制度の是正を改革の核心とすべきと主張してきた。
 しかしながら、今回決定された改革案は、国民健康保険の財政対策に偏向したものとなっており、被用者保険を含めた持続可能な制度の構築を志向したものとは言い難い。
 さらに、被用者保険の後期高齢者支援金に全面総報酬割を導入し、それによって生じる国費財源を国保の赤字補填のために投入するとの方針が示された。
 健保連は全面総報酬割導入そのものに反対しているわけではないが、その構図は、国保に対する国の財政責任を現役世代の保険料負担に押し付ける「肩代わり」そのものであり、全く容認できるものではない。
 また、医療費適正化対策についても不十分である。毎年1兆円規模で伸び続ける医療費をこのまま放置し続けることは、皆保険制度の崩壊につながる。
 医療提供体制の改革のみならず、保険給付範囲の見直し、高齢者の患者負担割合の引き上げ等、より実効性のある施策を早期に実行すべきと考える。
 一方、国費投入による高齢者医療への拠出金の負担軽減の方向性など、限定的ではあるが評価できる施策も示されている。政府における今後の検討の中で、その具体的な構図が示されることとなるが、どのような形となるのかを注視してまいりたい。
 健保組合は、保険料収入の半分を高齢者医療に拠出しているという異常な状況に置かれている。平成27年度には、全ての団塊世代が前期高齢者に移行し、異常な事態に拍車がかかる。
 拠出金負担がさらに膨らむ現役世代の負担軽減のため、予算措置と合わせ、高齢者医療の負担構造改革につながる施策をより一層強力に進めることを求めたい。
 世界に冠たる皆保険制度を将来世代に引き継ぐためには、全ての世代で負担を分かち合い、真に持続可能で納得できる公平な制度を構築しなければならない。
 政府においては、健保組合をはじめとする被用者保険の声を真摯に受け止め、施策に十分反映するとともに、平成29年度に消費税率を10%へ引き上げる際には、より踏み込んだ改革を断行するよう強く要望する。

最優先課題は高齢者医療費の負担構造改革
前期高齢者医療への公費投入は制度の見直しで対応
全面総報酬割導入に伴う捻出国費は高齢者医療費の負担構造改革に活用
医療費の重点化・効率化を推進
国民皆保険の堅持のため健保組合は最大限の努力