広報誌「かけはし」

■2012年3月 No.486
 このほど、はり、きゅう及びあん摩・マッサージの施術に係る療養費の取扱いに関する疑義解釈資料が、厚生労働省保険局医療課から、地方厚生局ならびに都道府県あてに送付されました。これらの療養費の取扱いについては、平成16年10月1日付保医発第1001002号「はり師、きゅう師、及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について」等に示されているところです。今回の疑義解釈資料は通知にもとづき、(別添1)鍼灸に係る療養費関係、(別添2)マッサージに係る療養費関係―の2部構成でQ&A形式にまとめられています。保険者が、上記療養費の取扱いについて、個別の状況に応じて判断する際の参考に、この疑義解釈資料の活用が求められています。厚生労働省保険局医療課の疑義解釈資料のうち、今月号では(別添1)を掲載しました。(別添2)は次号以降に掲載します。

はり、きゅう及びあん摩・マッサージの施術に係る療養費の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について

はり、きゅう及びあん摩・マッサージの施術に係る療養費の取扱いについては、「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について」(平成16年10月1日保医発第1001002号)等により実施しているところであるが、今般、その取扱い等に係る疑義解釈資料を別添1(鍼灸に係る療養費関係)及び別添2(マッサージに係る療養費関係)のとおり取りまとめたので、関係者に周知を図るとともに窓口での相談対応等にご活用いただき、個々の事案の状況により判断する際の参考とされますようお願いいたします。

〈別添1〉

鍼灸に係る療養費関係
【療養費の算定関係】
(問1)
 鍼灸の施術に係る療養費の支給対象はどのようなものか。
(答)
 療養費の支給対象となる疾病は、慢性病であって医師による適当な治療手段がないものとされており、主として神経痛、リウマチなどであって類症疾患については、これら疾病と同一範ちゅうの疾病(頸腕症候群、五十肩、腰痛症及び頸椎捻挫後遺症等の慢性的な疼痛を主症とする疾患)に限り支給の対象とされている。
(「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について」(平成16年10月1日保医発第1001002号 厚生労働省保険局医療課長通知 以下「留意事項通知」という。)別添1第2章の1)
(問2)
 初診の診察のみで発行された6疾病(神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛症及び頸椎捻挫後遺症)の同意書の場合、療養費の支給対象としてよいか。
(答)
 6疾病については、保険医より同意書の交付を受けて施術を受けた場合は、医師による適当な手段のないものとして療養費の支給対象として差し支えない。(留意事項通知別添1第2章の2)
(問3)
 6疾病以外の病名の同意書又は診断書が提出された場合、どのような病名が療養費の支給対象となるのか。
(答)
 6疾病以外の病名であっても、慢性的な(必ずしも慢性期に至らない場合もある。以下同じ。)疼痛を主症とする疾患であれば療養費の支給対象としても差し支えないが、症状(主訴を含む。)の記載内容等から医師による適当な治療手段のないものかを判断し、支給すべきである。(留意事項通知別添1第2章の3)
(問4)
 電療料の1電気針、2電気温灸器、3電気光線器具は、それぞれ行ったとしてもそれぞれ加算できないのか。
(答)
 電療料は1〜3の器具を用いたとしても1回分のみの加算ができることとなっている。(「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給について」(平成4年5月22日保発第57号 厚生労働省保険局長通知)
【同意書関係】
(問5)
 同意書でなく診断書でも取扱いは可能か。
(答)
 病名・症状(主訴を含む)及び発病年月日が明記され、保険者において療養費の施術対象の適否の判断ができる診断書であれば、同意書に代えて差し支えないこととしている。(留意事項通知別添1第3章の1)
(問6)
 鍼灸とマッサージ、それぞれ別々の疾患で同意書の交付を受けたが、両方とも算定は可能か。
(答)
 同一病名または症例でなく、それぞれ施術を行った場合はそれぞれ要件を満たせば算定可能である。
(問7)
 施術継続中の患者の保険者に変更があった場合、新たに同意書を再発行して貰わなければならないのか。
(答)
 被保険者又は変更後の保険者が同意書の写しを変更前の保険者に請求した場合には、請求を受けた変更前の保険者は速やかに交付しなければならないこととしているので、患者が保険医に同意書の再発行を依頼する必要はない。(留意事項通知別添1第8章の4)
(問8)
 再同意を得る場合、必ず医師の診察が必要か。
(答)
 医師の判断により診察を必要とせず再同意が与えられる場合もあり得るが、医師が再同意を与える際に診察が必要と判断された場合等は、その指示に従っていただきたい。
 なお、施術者が患者に代わって再同意の確認をしても差し支えないこととしているので、この場合も同様に取扱われたい。(留意事項通知別添1第3章の4)
(問9)
 整形外科医以外の医師の同意書は有効か。また、歯科医師の同意書は有効か。
(答)
 「同意を求める医師は、原則として当該疾病にかかる主治の医師とすること。」とされており、整形外科医に限定したものではなく、現に治療を受けている医師から得ることを原則としている。なお、歯科医師の同意書は認められない。(留意事項通知別添1第3章の7)
(問10)
 複数の医師が勤務する病院より同意書の発行を受け、その後再同意の時に担当医が変更となった場合、新たに同意書の発行は必要か。
(答)
 同意書を発行した前任の医師から患者を引き継いだ担当の医師であれば、新たに同意書の発行の必要はなく、引き続きその医師より同意を得ればよい。
(問11)
 施術を中止し、しばらくして再開する場合の同意の取扱いは如何か。
(答)
 療養費の支給可能期間(初療の日が月の15日以前の場合は当該月の翌々月の末日とし、初療の日が月の16日以降の場合は当該月の3カ月後の月の末日とする。)内であれば、当該同意書において再開は可能である。(留意事項通知別添1第8章の5)
(問12)
 同意書に加療期間の記載がない場合、いつまで継続できるのか。
(答)
 加療期間の記載がない場合は、初療の日から3カ月(初療の日が月の15日以前の場合は当該月の翌々月の末日とし、初療の日が月の16日以降の場合は当該月の3カ月後の月の末日とする。)としている。(留意事項通知別添1第5章の1)
(問13)
 初療日より長期間に及んで再同意が行われている場合、その同意はいつまで有効か。
(答)
 実際に医師から同意を得ていれば、その都度支給可能期間を延長して差し支えない。ただし、他の疾病が考えられる場合には患者に医師の診察を促すことが望ましい。(留意事項通知別添1第3章の4)
(問14)
 同意書に2つ以上の病名に印がついているが、療養費を支給できるのは一施術料のみなのか。
(答)
 病名数に関係なく、一施術料のみの療養費を支給できることとなっている。(留意事項通知別添1第5章の5)
(問15)
 再同意を得るにはどのような方法があるか。
(答)
 再同意を得る方法について特に決まったものはないが、電話や口頭による確認でも差し支えないこととしている。(留意事項通知別添1第3章の4)
(問16)
 同意日から何日で施術開始するのが望ましいか。
(答)
 施術の必要があるために同意していることから、同意が行われた後速やかに開始するのが適当である。(2週間以内が望ましい。)
(問17)
 医師の同意書作成から1カ月以上経過して施術を開始した場合、同意書の有効期間はどのように取扱ったらよいか。
(答)
 同意を受けてから施術が行われるまで相当の期間(1カ月以上)が開いている場合は、「初療の日」を同意書の起算日とするのではなく、「同意書作成日」を同意書の起算日とすることが適当である。
(問18)
 保険医療養担当規則第十七条で、「保険医は、患者の疾病又は負傷が自己の専門外にわたるものであるという理由によって、みだりに、施術業者の施術を受けさせることに同意を与えてはならない。」とは具体的にどのような事を指し示すのか。
(答)
 医師が専門外である事を理由に診察を行わずに同意を行う、いわゆる無診察同意を禁じたものである。医師の診察の上で適切に同意書の交付を行う事が求められる。
(問19)
 鍼灸の同意は保険医療機関での一定期間の治療を行った後になされるべきものか。
(答)
 医師の適切な診断を受け同意を受けたものであれば、治療の先行が条件とはならない。(留意事項通知別添1第2章の2)
(問20)
 同意を行った医師は施術結果に対しても責任を負うものか。
(答)
 同意した医師は施術に対する同意を行うものであり、施術結果に対して責任を負うものではない。
【往療料関連】
(問21)
 「歩行困難等、真に安静を必要とするやむを得ない理由等」とは、どのような理由を指すのか。
(答)
 疾病や負傷のため自宅で静養している場合等、外出等が制限されている状況をいうものであり、例えば、循環器系疾患のため在宅療養中で医師の指示等により外出等が制限されている場合に認められる。したがって、単に施術所に赴くことが面倒である等の自己都合による理由は療養費支給の対象とならない。
 また、全盲の患者や認知症の患者等、歩行は可能であっても、患者自身での行動が著しく制限されるような場合は、保険者等において通所できない状況等を個々に判断されたい。(留意事項通知別添1第6章の1)
(問22)
 公民館等に患者を集めてそこに赴き施術した場合、往療料は算定できるか。
(答)
 往療は、施術所に出向けない特段の理由のある者に対して実施するものであり、患者を公民館等に集めている場合は、往療料は算定できない。(留意事項通知別添1第6章の1)
(問23)
 病院の入院患者に往療はできるのか。
(答)
 保険医療機関に入院中の患者に対し、当該医療機関に往療した場合、患者が施術所に出向いてきた場合のいずれであっても療養費の支給はできない。(留意事項通知別添1第5章の4)
(問24)
 「定期的若しくは計画的に患家に赴いて施術を行った場合には、支給できないこと」の「定期的若しくは計画的」とは、どのようなものを指すのか。
(答)
 「定期的若しくは計画的」とは、往療の認められる対象患者からの要請がない状況において、患家に赴いて施術を行った場合をいう。
 定期的若しくは計画的に該当するか否かは、「患家の求め」の状況により判断されたい。(留意事項通知別添1第6章の2)
(問25)
 往療の距離の算定において、「直線距離による支給が実態に比べ著しく不合理と考えられる場合は、合理的な方法により算出した距離によって差し支えないこと。」とあるが、「直線距離による支給が実態に比べ著しく不合理と考えられる場合」とは、どのような状態を指すのか。
(答)
 施術所の所在地から患家の所在地までの間に大きく迂回しなければならない場所や難所がある場合等、直線距離により算定することが著しく不合理であることをいい、例えば、離島に出向いて施術を行う場合の往療料を直線距離で算定した場合、直線距離と実行程距離(船着き場を経由して離島へ到着するまでの距離)の間に大きな差が生じるため、このような場合は、保険者判断として実行程の算定も可とするものである。(留意事項通知別添1第6章の4)
(問26)
 往療の直線上の測定はどのような方法で行うのか。
(答)
 往療の直線上の距離については、地図上で縮尺率を基に計測する方法が一般的に多く用いられている。(留意事項通知別添1第6章の4)
(問27)
 片道16qを超える往療は、往療を必要とする絶対的な理由が必要であるが、「絶対的な理由」とは、どのような理由を指すのか。
(答)
 「絶対的な理由」の例としては、患家の所在地から片道16km以内に保険医療機関や施術所が存在せず、当該患家の所在地に最も近い施術所からの往療を受けざるを得ない事情が存在するなどがあげられる。(留意事項通知別添1第6章の5)
(問28)
 往療の距離の起点は施術所の所在地でよいか。
(答)
 往療を行った際の起点は施術所の所在地とするが、施術所を有さない施術者については、保健所等に届出されている住所地を起点としている。(留意事項通知別添1第6章の4)
(問29)
 片道16qを超える往療で、絶対的な理由が乏しく、往療料が算定できない場合、施術料については算定できるのか。
(答)
 施術料も算定できない。
(問30)
 同一家屋内で複数の患者を施術した場合の往療料の考え方は如何か。
(答)
 同一家屋内で複数の患者を施術した場合の往療料は、別々に算定するのではなく、1人分の往療料のみが算定できることとしている。(最初から按分して算定することはできないものである。)(留意事項通知別添1第6章の6)
(問31)
 同一家屋に複数の施術者が同時に訪問した場合の往療料については、それぞれ施術者ごとに算定できるのか。
(答)
 患者側のやむを得ない理由等により、同一家屋で複数の患者をそれぞれ複数の施術者が施術を行った場合の往療料は、それぞれの施術者ごとに算定可能である。
(問32)
 施術者が事前に施術を行う日を患者に伝えて患者の了承を得られた場合、往療料は算定できるのか。
(答)
 往療料は、歩行困難等、真に安静を必要とするやむを得ない理由により通所して治療を受けることが困難な場合に、患家の求めに応じて患家に赴き施術を行った場合に支給できるものであり、そのような往療の認められる対象患家の求めに応じ事前に施術日の日程調整をして赴かなければならない個別の状況があると認められるのであれば往療料の算定は可能である。
(問33)
 医療機関等へ付き添い等の補助を受けて通院している場合、また、歩行が不自由であるためタクシー等を使用して通院している場合等の状況において、はりきゅうに係る往療料は算定できるのか。
(答)
 「独歩(公共交通機関等の利用を含む)による通所」が可能であるか否か等を勘案し、個別に判断されたい。事例のケースをもって一律に施術所に通所可能又は通所不可として取り扱うのは適切ではない。