広報誌「かけはし」

■2012年2月 No.485


 社会保険診療報酬支払基金(支払基金)は、平成24年(2012年)3月審査分からレセプトの突合・縦覧点検を開始する。対象となるのは、保険医療機関等からオンラインまたは電子媒体で支払基金に請求される医科、歯科、調剤の電子レセプト。支払基金は、突合・縦覧点検の実施により原審査の充実を図るとしている。

 これまで支払基金でのレセプト点検は、入院・入院外別、医科、歯科、調剤別に毎月、保険医療機関等から請求されるそれぞれのレセプトの単月点検だけで、医科・歯科レセプトと、処方せんにもとづく調剤レセプトとの関連性をチェックする突合点検や、同じ患者の複数月にわたるレセプトをチェックする縦覧点検は行われていなかった。
 今回、突合・縦覧点検が実施されることになったのは、オンライン化などレセプト電子化の進展が大きな理由。電子レセプトだと、膨大なレセプトデータをコンピュータで蓄積でき、複数のレセプトを機械処理により突合や縦覧点検することが可能だからだ。支払基金によると、保険医療機関等から支払基金への平成23年(2011年)12月請求分のうち、電子レセプトの割合は、医科94.3%、歯科43.0%、調剤99.9%と進んでいる。
 開始時期は当初、レセプトの原則オンライン化と同時の平成23年4月からの予定だったが、東日本大震災の影響でずれ込んだ。24年3月実施となったが、岩手、宮城、福島の被災地3県はまだ準備が整わず、8月まで実施猶予となった。9月以降については再度、実施できるか確認することになっている。
 突合点検は、処方せんを発行した保険医療機関のレセプトと、その処方せんにもとづいて調剤を行った保険薬局のレセプトを、コンピュータによって患者単位に照合する。調剤レセプトに記録されている医薬品の適応症と、医科・歯科のレセプトに記録されている傷病名を突合し、チェックすることなどに有効だ。
 縦覧点検は、複数月にわたって同一保険医療機関から請求された同一患者のレセプトを、コンピュータによって照合する。初診月と次月以降で点数の算定要件が異なるケースをチェックすることなどに有効。同一月、同一患者の入院レセプトと外来レセプトも照合する。蓄積されるレセプトは3月の医療機関請求分からで、それ以前の月のものは対象外となっている。
 突合・縦覧点検はこれまで、健保組合などの保険者が医療費適正化のための自己防御策として独自に行い充実させてきた。近年、保険者側はオンライン対応のレセプト情報管理システムの導入などによって、チェック精度をより高めている。
 今回の支払基金による突合・縦覧点検の実施について、ある健保組合関係者は「支払基金に事務手数料を払ってレセプトの審査・支払いを委託しているのであり、突合・縦覧点検などは基本的に基金が行うのが当然。基金はやっと重い腰を上げた」と語っている。支払基金は、保険者の事務処理負担の軽減に資することを目的としている。医療費適正化の視点からみれば、一歩前進といえよう。