広報誌「かけはし」
 
■2011年7月 No.478
時評

社会保障改革の早期実現を!!


 平成23年度健保組合予算早期集計では、約9割の組合が赤字を計上している。赤字総額は6089億円で、22年度予算の6621億円をわずかに下回ったが、過去最高の527組合が保険料率を引き上げたことからすると、実質的な赤字傾向は、より一層強まったことになる。
 経済の停滞の真只中にあるわが国にあっては、賃金の伸びが期待できないうえ、高齢者比率は年々上昇しており、高齢者医療制度への納付金等は増える一方で、財政運営に重圧がかかっている。
 この重圧を取り除くための解消策は、政府がこの制度への公費投入を拡大する以外ないと思われるので、「社会保障と税の一体改革」で安定した社会保障財源を確保することに期待するのみである。
 ただ、心配な点は「一体改革」では、わが国の債務残高がGDP比で200%を超え、その額が家計の純資産残高を上回る可能性があり、非常事態となっているのを立て直すことに主眼が置かれるおそれがあること。さらに「一体改革」の本格検討に入った矢先に千年に一度といわれる東日本大震災に見舞われ、復興財源を確保しなければならない事態が生じたことである。
 日本の長期国債の評価がじわじわ下がっていることを危惧している金融界では、ギリシャ等の南欧問題として取り上げている「ソブリンリスク」が、日本に起きる可能性がないとはいえないと、ささやき出しており、政府はさらに財政の立て直しに力を注がざるを得ない状況になっている。しかもそこへ復興財源の確保という重しが加わったということだ。
 こういったことから、社会保障改革は二の次になりかねないおそれがあるうえに、震災復興と社会保障を安易に対立させて、財源を取り合うような発想が政治の場で強くなっていることがわれわれにとって心配な点である。
 日本の現状は「財政危機からの脱却」「超高齢社会の対応」「震災復興」「原発問題」と超難問が山積し、どれも手を抜けない状況にある。
 こんな一刻の猶予も許されない状況にあるにもかかわらず、政治家は一枚岩になろうとせず、難問の解消にスピードを欠いている。このように党利党略ばかりが目立つ政治の実情では「一体改革」の実現もおぼつかないと思われる。政治家には国民生活を直視し国民の生活改善のために全精力を注いでもらうことを切に望む。
  (S・Y)