広報誌「かけはし」
 
■2010年7月 No.466
時評

新内閣に期待する

− 希望の持てる新高齢者医療制度を −


 6月2日に突然、鳩山総理が退陣し菅新首相のもと、民主党政権が再スタートしたが、長妻厚生労働大臣と、副大臣・政務官が再任されたことにより、医療保険行政は大きな変化はない状況となっている。しかし、菅首相は厚生大臣を務めた経験もあり「強い社会保障」へ意欲を示し、経済成長と財政健全化、社会保障制度の充実を一体的に目指す考えを表明しているので、これまで以上に政治主導の医療保険行政が行われるのではという見方もある。
 一方で、昨年末からの「高齢者医療制度改革会議」での議論では、内閣が変わろうが粛々と進められ、参議院選挙後に中間まとめのたたき台が出てくる予定である。これまでは、新制度で公費を拡充すべきという意見が大勢であるが、財源確保まで踏み込んだ議論はなされていない。財源は、内閣・財務省の問題であり、改革会議は要請だけでよい、政治に任せるというなら、なんのための新しい高齢者医療制度なのか、将来の医療制度を支える現役世代に希望を与えられるのか、と問いたい。高齢者、診療側、支払側、有識者などが集まり、おのおのが言いたいことを発信し、最後は、財源問題は政治決着ということにでもなれば、本当に将来にわたり持続可能な医療保険制度となりうるのであろうか。国民皆保険を守り、国民の信頼を高め、生命・健康を公平に支える制度が従来の縦割り行政の継続で実現するのであろうか。どうも、健康保険組合にとって、「一元的運用」と関連した保険者機能のあり方論議も含め、熱い戦いが迫ってきている予感がする。
 新しい高齢者医療制度が始まる2013年ごろから、団塊の世代が60歳代後半に入ってくる。2015年には65歳以上の人口が27%を超え本格的な超高齢社会となる。制度改革の要請は、もう待ったなしのところまできているのだ。先ごろ経済産業省がまとめた「産業構造ビジョン2010」が、日本の再生への道標となり、デフレ脱却と経済成長を早期に実現させ、医療保険制度にも光が見えてくることを望みたい。
 参議院選挙で消費税が大きな争点となった。今後、税制改革論議が本格化することは明白である。消費税を上げるのならば、それに見合った還元が必要である。これからの日本の経済・社会保障と国民の暮らしに希望が見出せるのか、市民運動出身の菅首相に将来を見据えた政策と実行を期待したい。
  (T・N)