広報誌「かけはし」
 
■2004年10月 No.397

 
初老期うつ病について
〜ボケにならないために〜
   
 「初老期うつ病について〜ボケにならないために〜」をテーマに、大阪府こころの健康総合センター相談診療部長の漆葉成彦氏による心の健康講座が、9月10日薬業年金会館で開催されました。

●初老期うつ病とは
 

漆葉成彦氏

 精神医学でいう初老期とは成人期後期、40〜65歳を指します。この時期はそれまでの人生を振り返って集大成する時期。若さや可能性の喪失、親しい人との別れなど、いろいろな意味で喪失体験が繰り返される時期であり、社会的役割の変化、これまでの人生への疑問、老いや死への直面といった課題を抱えている時期です。
 初老期うつ病の発生要因としては身体能力の衰えや更年期などの生物学的な要因があります。心理的・社会的要因には家族との関係、職場の問題、人生の問題などが加わります。
 初老期うつ病になりやすいのは、物事にこだわりやすく、几帳面、焦燥感や不安感、自責感などにとらわれやすい性格の人。自責感は自殺に結びつきやすいので要注意です。また、中高年のうつ病に多いのが身体症状。肩こりや頭痛、腹痛、しびれなど身体症状の仮面をかぶったうつ病を仮面うつ病といいます。

●燃え尽き症候群の症状
   うつ病の前段階といえる症状が燃え尽き症候群。これは意欲的に仕事をしていた人が、燃え尽きてしまい心身のストレス症状を呈するもの。
 ひどい消耗感、無感動、共感性の減退、アルコールや薬物への依存などが見られますが、本人は燃え尽きを否認する特徴があります。
 燃え尽きの原因は「困難な状況」「努力が報われない」「本人の性格」など。性格はうつになりやすい人とよく似ています。
 批判的な上司がいたり、努力が認められない、過重労働、本人のスキル不足などがある職場環境も燃え尽きの誘因になります。
 
 
●燃え尽き予防のために
   燃え尽き予防には、まず本人が燃え尽きを認めて燃料を補給し、燃え尽きをコントロールすること。ストレスをコントロールし、自分を支えてくれる人間関係を作ります。具体的でポジティブな課題や期間を設定し、それらを達成するごとに、自分をほめるなどが大切です。さらにストレッサーを避け、十分な休養を取ること、ストレスを感じやすい性格の修正、ストレスへの適切な対処行動を身につけること。問題に焦点を合わせ、積極的に解決することが適切な対処方法です。
 自律訓練法や漸進的筋弛緩法などのリラクゼーション法でストレス反応を抑えたり、睡眠、栄養、運動を十分取る健康な生活習慣もストレス反応を抑えるいい方法です。特に運動はストレス解消に役立ちます。
 加えて、家族や同僚、友人との関係や社会的支援、相談できる相手を作ることも必要です。
 大切なのは燃え尽きる前に対処していくこと。そうすればうつ病の予防にもなり、健康な生活が期待できます。
 
 
 
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