広報誌「かけはし」
 
■2004年10月 No.397
時評

保健事業実施等指針を踏まえた
事業推進の課題


 「健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針」が7月30日に告示された。
 指針の目的は、生活習慣病対策をはじめとして、個々の加入者の自主的な健康増進および疾病予防の取り組みについて、保険者がその支援の中心となって、個々の加入者の特性を踏まえた保健事業を展開することとしている。
 基本的な考え方として、@保険者の役割の重視A生活習慣病対策への重点化Bきめ細かい保健指導の重視C地域特性に応じた事業運営の4項目を挙げ、保険者が加入者の生涯にわたる生活の質(QOL)の向上のため、きめ細かい働きかけ、指導、他の関係先との連携を求めている。
 具体的な保健事業の内容として、@健康教育A健康相談B健康診査C健康診査後の通知および指導D訪問指導の5項目に整理し、その進め方等を示している。
 そして保健事業実施上の留意点として、@保健事業の担当者は医師、保健師等、生活習慣病に知識経験を有する者をあてるA職域および地域におけるリーダー的人材の育成を図るB委託事業者活用の有効性の検討C保健事業の実施計画の策定と評価を行うD健康管理情報の継続的な管理と活用および個人情報の保護E事業主とは福利厚生事業や労働安全衛生法に基づく事業と事前調整し効率的な実施を図ることの6項目を挙げている。
 これを健保組合として推進するに際し次のような課題があると考える。
@加入者の自主的な取り組み
 平成14年度より展開されている「健康日本21」運動は国民が主体的に取り組む健康づくりであり、行政や健保組合等健康増進事業実施者は啓蒙や支援の保健事業を行っているが、国民の認識度は十分でない。
A健康情報の継続的な管理
 自己管理の観点から本人が行うのが原則であるが、保険者も5年間程度の情報を管理する必要があり、健康管理データベースの作成、見直しの必要がある。
B「健康手帳」の交付
 健康診査指針では、将来的には統一され生涯にわたる健康情報が継続されることが望まれるが、まずは各制度下においてすでに交付しまたは今後交付する「健康手帳」を活用するよう求めている。健保組合ですでに交付している組合もあるが、様式、項目等は任意のものであり互換性に欠け、新規に作成するにしても標準的なものがなければ同様である。したがって、健保連等で標準的なものを示す必要があるのではないか。
C保険者協議会の設置・活用
 地域特性に応じたきめ細かい保健事業を実施するための組織として示されているがまだ見えていない。健保組合は全国に事業所を有するので地域との連携も必要であるが、横断的な共同事業の方が必要であろう。
 指針が告示されて間もないので、課題ばかり挙げたが、来年度保健事業計画作成の時期も迫っており、指針を踏まえ積極的に加入者の立場で計画を策定したい。
(I・W)