広報誌「かけはし」

■2004年1月 No.388
時評

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禁煙サポートの実際
 
増居志津子氏


 「禁煙サポートの実際」をテーマに、大阪府立健康科学センター健康生活推進部の増居志津子氏を講師に迎え、保健師連絡協議会研修会が、平成15年11月28日、健保連大阪中央病院大会議室で開かれました。


薬で禁煙が楽に
 喫煙者の中には禁煙は自分ひとりでするもの、1回で成功させるもの、意志が弱いから禁煙できないといった思いこみをしている人が多数います。私たちはその思いこみをなくすようアプローチすべきです。
 タバコは嗜好品ではなく、薬物です。喫煙者はニコチン依存症という慢性の病気にかかっていると考えてください。ですから、専門家のサポートを受けた方が禁煙しやすく、ニコチン代替療法という、薬を使う方法も有効です。事前に検査が可能なら尿中のニコチェック代謝物濃度を測る「ニコチェック」を実施、ニコチン依存度を調べましょう。依存度が中程度以上なら、ニコチンガムやニコチンパッチをお勧めします。昔は我慢比べのように精神力を試す禁煙でしたが、現在は薬を使ってかなり楽に禁煙できます。
 ニコチンパッチは貼り薬で、安定したニコチンの血中濃度が維持できますが、医師の処方箋が必要です。緩やかにニコチンを補給しているので急激な喫煙欲求に対応できないなどの短所もあります。ニコチンガムは処方箋なしに薬局で購入できます。数分で効果を発揮し、ニコチンの摂取量を自己調節できますが、かみ方が難しく指導が必要です。私たちの外来では、ヘビースモーカーの方にはガムとパッチの併用をすすめています。禁煙による体重増が心配な人にもニコチン代替療法はおすすめです。
 
十分なケアが成功の秘訣

 禁煙にいたるまでの過程を行動変容のプロセスとして捉えて、サポートをするのがお勧めです。今すぐに禁煙したいという人は準備期。そのほか関心期、無関心期などの時期があり、それによってサポートの内容を変えます。準備期の人には十分なケアと行動に移すお手伝いが必要。最初の面談で禁煙開始日を決め、最低限電話でフォローします。最初のフォローは禁煙3日目の禁断症状がピークになるころ、あとは1カ月目、2カ月目と続けます。一方、無関心期の人とは、タバコそのものについて話し合うと比較的素直に情報提供を受け入れてくれます。将来の種まきと考え、長い目でサポートを見る必要があります。
 人からいわれて禁煙する人はたくさんいますが、そういう事例はなかなか成功しません。自分のために禁煙する気持ちが大切です。また、何のために禁煙するのか、禁煙の向こうにある大きな目標を確認することが禁煙の継続率を高めます。
 しかし、依存度の高い人や禁煙がなかなかうまくいかない人には、禁煙専門外来の受診を勧めてください。専門の医師とカウンセラーがその人に合ったアドバイスをしてくれるはずです。