広報誌「かけはし」
 
■2003年4月 No.379

   3月20日、健保連大阪中央病院で平成14年度第2回保健師連絡協議会が開かれ、会費規定案と15年度事業計画案、予算案について承認されました。総会後には、日本生命本店健康管理所の藤岡滋典所長が「マルチプルリスクファクター症候群〜職域からの支援に活かすために〜」をテーマに、特別講演会を行いました。

   総会は、沖中奈美子会長の開会のあいさつに続き、来賓の三洋電機連合健康保険組合の林勝彦専務理事は、健康増進法の施行などに言及し「さらに保健師のみなさんの活躍の場が広がります。サラリーマンの味方としてがんばってほしい」とエールを送りました。
 議事は第1号議案で大阪連合会の吉田事務局長から「会費規定(案)」が提示された後、第2号議案で「平成15年度事業計画(案)」、第3号議案で「平成15年度予算(案)」が提案されました。いずれの議案についても賛成多数で可決。総会後、大阪連合会の置田専務理事から「健保組合をめぐる情勢報告」(別掲)がありました。

特別講演会 「マルチプルリスクファクター症候群」
〜職域からの支援に活かすために〜
 
 

日本生命本店健康管理所 藤岡滋典所長

   危険因子の合併で発症二次健診の対象に
   平成13年度から厚生労働省によって労災保険による二次健診の制度ができましたが、それはマルチプルリスクファクター症候群をターゲットに設けられたものです。
 肥満、高血圧、高血糖、高トリグリセリドのうち、3〜4個を持っている人は、ひとつも持っていない人より冠動脈疾患発症のリスクが31倍も高いことがわかっています。このように危険因子を多数併せ持っている場合をマルチプルリスクファクター症候群と呼び動脈硬化性疾患を高率に発症する病態として、最近注目されています。その主なものには「内臓脂肪症候群」「シンドローム]」「死の四重奏」などがあります。
 労災保険の二次健診の対象となるのは、高血圧、血清脂質異常、高血糖、肥満の4項目をすべて持っている場合です。二次健診では頸部エコー、心電図、空腹時血中脂質検査、空腹時血糖、HbA1c、微量アルブミン尿検査等を行い、その結果に基づき、脳血管疾患、心疾患発症のリスクを評価するとともに、発症予防のための特定保健指導を実施します。

   危険な内臓脂肪型肥満食事と運動で改善を
   マルチプルリスクファクター症候群の発症基盤としては、腹腔内内臓脂肪の蓄積が重要と考えられます。
 高血圧や高脂血症、耐糖能異常、高尿酸血症は、BMI(Body Mass Index)が増えるほど多く、逆に、消化器、呼吸器疾患などはBMIが小さくなるほど多くなり、男女ともBMIが22ぐらいがもっとも病気の合併が少なく、健康的な標準体重とされています。日本人の肥満の定義はBMI25以上で、肥満に関連した健康障害を合併するか、臨床的に合併が予測されるハイリスク肥満で、医学的に減量を必要とする病態をいいます。
 肥満に伴う合併症は脂肪分布と関連が深く、内臓脂肪が多いほど、血圧、血糖、トリグリセリド、コレステロールが上がることがわかっています。CT検査で内臓脂肪面積が100平方センチメートル以上ある場合が内臓脂肪型肥満で、危険因子が多く、動脈硬化を非常に合併しやすいハイリスク肥満であることがわかりました。
 内臓脂肪の成因は加齢、運動不足、遺伝、ショ糖の過剰摂取、ストレス、性ホルモンのアンバランス、喫煙などが上げられます。
 そういう人たちへの指導について、食事療法では、タンパク質を十分確保した低カロリー食、ショ糖を控えること、そして規則正しく欠食をしないことが大切です。それから運動も大切です。内臓脂肪は運動によって減少し、血圧が下がり、HDLコレステロールが上がり、インスリン感受性が改善されます。また、減量に伴う体蛋白喪失も防止できます。一番すすめやすいのはウオーキングでしょう。
 当社における健康管理は、健診の結果を就業管理区分、医学的管理区分に分類し、それらを組み合わせて健診総合判定としています。それに基づき、今後の健康指導を決めます。健康教室なども開催していますが、コレステロールや血糖、中性脂肪などが有意に改善されました。このような催しは意識付けに非常に効果的なので、ぜひ実践をおすすめします。
 

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情勢報告
 
 

健保連大阪連合会 置田榮克専務理事

   健保法等一部改正について
   昨年7月の健康保険法改正を受けて、この4月1日から、継続療養が廃止、任意継続の加入期間も55歳以上の特例が廃止され、最長2年間へと変わりました。また、被保険者本人の窓口負担が3割になります。これは、膨らみつづける高齢者医療費の負担増によるためです。
 3月28日には閣議で高齢者医療制度を中心に医療制度改革の基本方針が決定する予定です。そこで主になるのが、高齢者医療費の財源問題。高齢者の窓口負担の原則1割(一定以上の所得者は2割)。医療費の1割相当を保険料で高齢者から徴収。そして5割を公費、残りが74歳以下の若年者からの支援となります。従来、老人保健拠出金としていたものを、今後は高齢者医療のための保険料として明確に区分することになります。
 昨年4月の診療報酬改定では診療報酬が引き下げられ、また、本年4月から7月にかけて特定機能病院の包括評価が順次行われることになりました。
 こうした状況を受け、健保連では増え続ける高齢者医療費の伸びを抑制すべく、様々な取り組みを行っていく所存です。