健診結果の見方

○ 尿・便の検査

尿や便に含まれる成分や混濁物を調べることで、様々な病気の手がかりを得ることができます。

(1) 尿たんぱく腎臓や尿路(腎盂、尿管、膀胱、尿道)の障害を調べる

血液中には私たちの生命活動に欠かせない蛋白が一定量含まれています。その一部は腎臓でろ過され尿中に出てきますが、尿細管で吸収され血液中に戻ります。正常な状態では尿蛋白が出ても少量ですが、腎臓や尿管に異常があると、多量の蛋白が尿中に漏れて蛋白尿になります。
一般に試験紙法で調べますが、陽性反応が出た場合は、再検査もしくは1日分の尿中の蛋白量を調べる定量検査を行います。

■尿蛋白のおおよその目安

糖量 mg/dl 判定 対 策
(−) 14以下 正常  
(±) 15〜 29
(+) 30〜 99 異常 再検査し、またその原因を詳しく調べる。
(++) 100〜299
(+++) 300〜999
(++++) 1000以上
(2) 尿潜血 腎臓や尿路(腎盂、尿管、膀胱、尿道)の異常をみる

腎臓や尿管、膀胱、尿道などに炎症や結石、腫瘍があると尿中に血液が混じる場合があります。
出血量が多ければ目で確認できる血尿となりますが、見た目でわからなくても少量の出血が混じっていることがあり、この状態を尿潜血と言います。
試験紙法で調べますが、出血の有無を調べるスクリーニング(ふるい分け)検査であり、この検査だけでは病気に判定は出来ません。また、一過性でまったく無害な尿潜血もあります。

■尿潜血のおおよその目安

赤血球数 判定 対 策
(−) 5/μl以下 正常  
(±) 10〜19 異常 尿沈渣の検査を行って、
赤血球が増加し尿中に出ていることを確かめ、
次にその原因を精査する。
(+) 10〜49
(++) 50〜249
(+++) 250以上
(3) 尿沈渣 腎臓や尿路(腎盂、尿管、膀胱、尿道)の障害を調べる

尿沈渣は、尿中の赤血球、白血球などの細胞や結晶、細菌などを調べる検査で、尿たんぱくや尿潜血が異常値を示したときに行われます。尿を遠心分離機にかけ、成分を沈澱させて、それを調べます。正常ではこれらの成分はほとんど見られませんが、腎臓から尿管、膀胱、尿道までのいずれかに異常があると増加します。したがって、この検査で、増加により疑われる様々な病気(下表参照)の手がかりを得ることができます。

■検査成分のおおよその目安

成分 正常値 異常増加を示す病気
赤血球 1視野に1−2個 腎炎、腫瘍、尿路結石、膀胱炎、頻尿など
(高年女性では5個まで正常)
白血球 1視野に1−3個 尿路の感染症、前立腺炎など
結晶成分 1視野に少量 腎結石、急性肝炎など
上皮細胞 1視野に少量 尿路の炎症、腫瘍など
円柱細胞 1視野にゼロ 腎臓の病気(腎炎、ネフローゼなど)
(4) 便潜血反応 大腸など消化器の病気の有無をふるい分けする

便の中に血液が混じっているかどうかを検査します。食道から肛門までの間の出血の有無を調べますが、特に大腸がんなどのスクリーニング(ふるい分け)検査として普及しています。
肉眼で見て、食道から十二指腸くらいまでの出血では真っ黒な「タール便」になり、赤色の血便では大腸から下の消化器官の出血を示すと言われますが、検査で陽性となるためにはある程度の出血が必要であり、通常は肉眼では見分けできません。
陽性反応の場合、再検査を行い、それも陽性なら、X線撮影や内視鏡検査を行います。

■ 結果のおおよその目安

結果 判 定 対 策
(−) 陰 性 正常
(±) 半陽性 念のため再検査を行う。
(±) 陽 性 直腸指診、直腸鏡、大腸ファイバースコープなどの検査を行う。
疑われる病気に次のものがある。

 食道 : 静脈瘤、食道潰瘍、食道がん
   : 胃潰瘍、胃がん、出血性胃炎
 十二指腸 : 潰瘍
 小腸 : 潰瘍、クローン病、肉腫
 大腸 : 大腸がん、ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病、憩室炎
 肛門 : 痔

痔や生理のときに血液が混入して陽性になる場合がありますので、再検査が必要です。