健診結果の見方

6 血液一般の検査

血液中の赤血球は、全身をめぐって体の隅々に栄養や酸素を届け、さらに二酸化炭素や老廃物 を回収します。このほかに、血液中には体内に侵入してきた細菌などと闘う白血球や、傷口を固 めるときに働く血小板などがあります。いずれも、健康に生活してていくためには重要な役割を 担っており、この成分に異常があるとさまざまな病気を引き起こします。
血液一般検査では、血液中の細胞成分の状態を調べます。

6−(1) 赤血球数 (RBC) 貧血を見つける手がかりです

血液中の赤血球は、全身をめぐって体の隅々に栄養や酸素を届け、さらに二酸化炭素や老廃物 を回収します。赤血球数が少ないと、酸素の運搬能力が低下し酸欠状態になって、貧血を起こす 要因のひとつになります。逆に増えすぎると、血液が濃くなって流れにくくなり、血管がつまりやすくなります。

■赤血球数のおおむねの目安

値 万個/μl 判定 対 策
貧血症 原因を調べ、必要により治療する。
男性 410〜560
女性 380〜500
正常  
多血症 原因を調べ、必要により治療する。
     

赤血球は朝に多く、夜には減少するといわれており、季節的に夏に少なく冬に多く
なります。また、運動や喫煙によって高値を示す傾向もあり、さらに妊娠時には低
値になります。老人は、正常でも低値となる傾向があります。

6−(2) ヘモグロビン(血色素) (Hb)貧血を見つける手がかりです

赤血球はヘモグロビン(血色素)を主成分としています。したがって、赤血球の働きはこのヘモグロ ビンによるものであり、酸素を運搬し、二酸化炭素や老廃物を回収する働きをします。
このヘモグロビンはヘムという鉄分とグロビンという蛋白質から構成されており、鉄分が不足すると貧血を起こします。


g/dl
判定 対 策
貧血症 原因を調べ、必要により治療する。
男性 13.5〜18.5
女性 11.3〜18.5
正常  
多血症 原因を調べ、必要により治療する。
6−(3) ヘマトクリット (Ht)貧血を見つける手がかりです

ヘマトクリット値は赤血球容積値とも呼ばれ、一定量の血液中に占める赤血球の割合(容積)を示したものです。
検査の目的は赤血球数検査と同じですが、測定方法が比較的容易で信頼性も高い検査です。
低い値では血中濃度が薄いことにもなり貧血が疑われます。逆に脱水症や多血症では高い値になります。

■ヘマトクリット値のおおよその目安

値  % 判定 対 策
貧血症 原因を調べ、必要により治療する。
男性 37.0〜52.0
女性 34.0〜45.0
正常  
多血症、脱水症 原因を調べ、必要により治療する。
   
6−(4) 白血球数 (WBC) 炎症やウイルス感染による異変を調べる

白血球は、体内に侵入した細菌やウイルス感染による炎症などが起こると数が増え、これらを撃退する働きをします。したがって白血球数の増加は、炎症やウイルス感染による体内の異常を示します。
タバコを吸う人は、気管や気管支に慢性的な炎症を起こしていることが多く、白血球増加が多いこと、多いと動脈硬化など起こしやすいことがわかってきました。
また、運動や立位、入浴、ストレスなどが原因で一時的に増えることもあり、さらに、数値は個人差が大きいので、健康時の自分の標準値を覚えておくとよいでしょう。
検査結果が基準外のときは、再検査とともに白血球の分類検査も受ける必要があります。
白血球は通常5つに分類され、好中球・リンパ球・単球・好酸球・好塩基球がありますが、それ ぞれの役割や該当疾患があるため、個々の増減を調べる分類検査により異常を調べます。

■白血球数とその分画のおおよその目安

種別 正常値 異常値で疑われる主な疾患
数 (個/μl) 比 (%)
白血球 男性 3900〜9800
女性 3500〜9100
  (高値)虫垂炎、肺炎、胆のう炎、膵炎、心筋梗塞、白血病
(低値)膠原病、貧血、敗血症
好中球 (分節核球) 38〜58 (高値)感染症、白血病  (低値)貧血、白血病
リンパ球 1500〜4000 20〜60 (高値)感染症、耳下腺炎  (低値)悪性リンパ腫
単球 200〜800 0〜12 (高値)結核、白血病  (低値)敗血症、貧血
好酸球 0〜700 0〜10 (高値)アレルギー性皮膚疾患、喘息、  (低値)寄生虫
好塩基球 0〜150 0〜3 (高値)アレルギー疾患、白血病