健診結果の見方

4 腎臓の検査

腎臓は、血液が運んできた老廃物や体に有害なもの、不要なものなどをろ過して、それを尿として 体外へ排泄する重要な臓器です。腎臓病には、急性腎炎、ネフローゼ、腎不全などがありますが、 急性腎炎以外はかなり進行するまで自覚症状があまりありません。腎臓病は健診で発見される ケースが殆んどです。なお、ここで取り上げる血液検査以外に、後述の尿検査も腎機能を示します。

4−(1) 尿素窒素 (BUN)腎臓の機能障害などの有無を調べる

蛋白が体の中で分解されたときにできる物質のひとつに尿素がありますが、その尿素はすべて 腎臓から排泄されます。しかし、腎臓の排泄機能が低下すると血液中に尿素が溜まってくるため、 血液中の尿素を測定すれば、腎臓の排泄能力を知ることができます。尿素は窒素を含んでいるので、実際にはその窒素を測定して調べます。
腎臓の排泄機能が悪化しているとこの値が高値になり、腎障害が疑われます。また、それ以外に、 尿素窒素の合成過多による高値の場合は、腎臓以外の消火器などの障害、合成過少で低値の場合は、肝障害などの恐れがあります。

■ 尿素窒素のおおよその目安

値 mg/dl 判 定 対 策
7.9 以下 低尿素窒素血症 妊婦、低蛋白食、多尿でみられるが、特に問題なく経過観察。
8.0〜22.0 正 常  
22.1〜29.9 軽度上昇 腎障害を疑うが、他の因子による可能性も考えられる。
30.0〜39.9 中程度上昇 腎障害を考え、腎臓の精査を行う。
40.0 以上 高度上昇 腎障害のほかそれ以外の消化器の障害の恐れある。 糖尿病など。

水分摂取量が少なかったり、激しい運動をしたあとや、外傷、消化器出血、発熱などあれば 値が少し高く出ます。中〜高度上昇のときは、腎障害の疑いが大きくなります。

4−(2) クレアチニン (Cr)腎臓の機能障害の有無を調べる

クレアチニンは、尿酸同様に体内で使われた蛋白質の老廃物です。筋肉の運動やエネルギー 消費に使われた蛋白質の燃えカスとして、腎臓でろ過され尿細管を経て排泄されます。
腎臓の排泄機能が悪くなると、血液中のクレアチニン値が高くなります。通常は、同時に尿素窒 素値も上昇しますが、尿素窒素と違ってクレアチニンは腎臓以外の影響をほとんど受けません。

■クレアチニンのおおよその目安

値 mg/dl 判 定 対 策
男性 0.6 以下
女性 0.46以下
低クレアチニン血症 筋肉の病気の有無を調べる。その他長期の臥床、
妊婦、尿崩症でもみられる。
男性 0.61〜1.04
女性 0.47〜0.79
正 常  
男性 1.05〜1.99
女性 0.80〜1.99
軽度上昇 腎臓の病気(慢性腎炎、腎不全など)、高血圧、
糖尿病性腎症、脱水、肝硬変の有無を精査。
2.00〜4.99 上 昇  
5.00 以上 高度上昇 腎不全において、血液透析を行う目安とする。

筋肉量の少ない人や体をあまり動かさない人では、正常値でも腎機能の低下がある場合があります。